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2022年10月道コン国語レビュー

更新日:10月28日

学テBレビューも更新しています。


2022年学テBレビュー


前回8月道コンのときに「評論をどう扱うか」という話をしましたので、前段として8月道コンレビューをお読みください。


今回の10月道コンの構成はこうです。

大問1 漢字・資料と対話・知識

大問2 小説

大問3 評論

大問4 古文(漢文)


完全に2021年以前のモードに戻してきました。


ただ、基本的に10月道コンは「学テC」に合わせた出題をすることになっているので、今回は学テCの構成に近い形で出題したということなのでしょう。

11月道コンからは入試をターゲットにした構成に戻してくるでしょうから、11月道コン以降の出題構成が「道コンが来年の入試をどう予測しているか」を知る指標になるかと思います。


大問1(漢字・資料と対話・知識)

問3

(1)

和語・漢語の区別は「音読み・訓読み」を根拠にするのですが、たまに「漢字を使っている=漢語」だと思い込んでいる生徒が見受けられます。

ただ、今回の問題はそう思い込んで解いても解けてしまうのですが……


(2)~(3)

文章全体を読む必要はなく、直前直後からキーを拾えればそれで正解が出せます。

(2)は、後ろの「募金を集めるうえで特に必要ない」という情報がわかれば、それだけでウと判断できます。

(3)も、後ろの「いつからいつまでなのか」という情報がわかれば「期間」の話をしていることがわかるので、後は本文から期間を意味する6字の語句を探すだけ。


このように、「資料と対話」問題は全部をすみずみまで読むのではなく、必要な情報だけを拾ってくる「スキャニング」が必要になります。

この技術は、今の大学入試共通テスト「英語(国語も?)」でも強く求められているものです。バカ正直にすべてをすみずみまで読むと確実に時間が足りなくなるようにテストが作られているので、いかに必要なところだけに焦点をしぼって、どうでもいい情報を排除していくかが重要になっています。


(5)

「放送内容と重なるところもありますが」という前置きが、このタイプの問題としては珍しい。

普通であれば「放送内容と重ならないように」という指示が出て、どこが放送内容で既出になっていて、どこが未出なのかを調べるように作ると思うのですが、今回の場合だと条件1~3にあてはまるものをただ機械的にスキャニングすればいいので、作業がシンプルになり難易度が低減したように見えます。


あとはいつも言っていることですが、こういう問題に限らず高校入試国語は「問題文と条件の把握」が9割、みたいなところがあります。

今回で言えば

「緑の募金」について、

・期間

・集め方

・結果周知の方法

・ここ数年の募金状況(資料C)

という4条件に合うものを拾ってくるということ。

本文をいくら読んでも、この条件把握じたいを間違っている、あるいは意識が弱いと結局点数にはつながらない。


90字程度なので、基本的には86~95字の範囲で書くのがベストです。

よく「8割以上書く」という人がいますが、長い記述の場合は「8割」を基準にするのは明らかに短かすぎです。

「制限字数マイナス5字以上(字数が多い場合はマイナス10字以上)」というのが基準だと考えてください。

今回は90字と長めの記述なので、81字以上書いてあれば大丈夫だとは思いますが。


大問2(小説)

出典:宮下奈都『スコーレNo.4』


(読み取るべき心情の流れ)

津川……靴に興味がないのに、靴売り場に派遣されて困惑

中村……津川の靴を選ぶよう勧める(興味を持たせたい?)

津川……興味がないので困惑、興味がある靴が一つだけある

(=中村が好きな靴と偶然一致=問2の解答根拠)

津川……①と②が葛藤し、②が勝つ

①中村が好きな靴を自分が履くのは気が引ける

②自分の好きな靴を他人に選んでもらうのはうれしいことであるはず

津川……サイズがきついことで、むしろ安心

(中村が好きな靴を自分のものにしてしまう恐れ)

店長……プロの眼から見ると、サイズむしろぴったり(=問3の解答根拠)

津川……歩いてみると、ものすごくぴったりで感動、自分のものにする喜び

津川……幼いときの父の店を思い出す(=問5の解答根拠)

①気に入ったものを見つけて自分のものにする喜びを思い出す

②父と客と品物との交わりを思い出す

③①の品物を、深く受け止められるのは自分ではない絶望を思い出す

(=最終的に品物を手にするのは客であって、店の人間ではないということ?)

津川……靴屋の仕事に打ち込めるような気がする


問4①

多くの生徒が2点しか取れない問題だと思います。


△の解答例

「中村さんに後ろめたい気がする」


これだとダメです。

採点基準上は△になっていますが、本当は✕にしなければならない解答だと思う。

なぜなら、すでに「サイズがぴったりではない」ことが判明した後の気持ちなので、この時点では「後ろめたさは感じていない」のです。

「後ろめたさを感じていた→感じなくてもすむようになった」ことが「ほっとした」理由。


「中村さんに後ろめたい気がしていた」

のように過去形で書いているなら△で2点にすべきだと思います。

ただ、これでも説明不足なので、◎にすべき答案ではない。


問5

これはなかなかレベル高めの問題だと思います。

傍線部③の中で説明が必要な言葉は「封印を解く」ですので、この「封印を解く」ことの意味を説明すること。

そして質問が「どのようなことを思い出させたのか」「どのような予感をもたらしたのか」の2点なので、この2点に答える。


すると、以下のとおりになるはずです。


・思い出したこと「気に入ったものを見つけて自分のものにする喜びを思い出す」

ただ、その「気に入ったもの」が結局自分のものにはならないことに絶望し、「よいものに触れたい」という欲望じたいを「封印」してきたということ。


・中村と店長に与えてもらったもの「中村が好きな靴を津川に勧めてくれて、自分のものにできた」

つまり「中村・店長・津川・靴」が「店」という場において出会って、幸せな交わりを作ることができた。


・今後への予感「今度は自分が中村・店長の立場になって、お客さんと靴との交わりを作っていきたい」


この3点をまとめることが解答として最もふさわしいはず。

となると、村上が解答を作るならこんな感じになります。


(私にぴったりの靴が、)

A 売る側・買う側・品物との交わりの中で、

B 本当に良いものに触れる喜びを思い出させ、

C 靴と、靴屋の仕事を自分が愛せるという予感をもたらした。

このA~Cがそれぞれ採点ポイントになるだろうと予測しました。


ただ、実際の模範解答・採点基準を見ると、AとBはどちらか片方でOK、ということになっているんですよね。


うーん……


Aがないと「靴屋という仕事を自分がやっていきたい」という結論につながらないと思うんですけどね。

「ほんとうによいものに触れた喜び」「靴を愛する」だけでいいなら、別に自分が店員にならなくても客として楽しんでいればいいだけの話で。

今回、中村と店長が自分と「靴との交わり」を作ってくれたわけで、中村と店長がいなければ津川は「喜び」を思い出せなかったわけですよね。

その流れの中で「自分も靴屋の店員をやりたい」と思ったのであれば、Aに触れたうえで「靴屋の仕事を通して、自分が『交わり』を生み出していきたい」という内容がないのは解答として不足だとわたしは思います。


大問3(評論)

出典:鷲田清一『わかりやすいはわかりにくい?』

学テAと出典本が被るという珍しい事態。

まぁ超頻出出典ですし、場所が違うので特に支障はないですが。

文章もほとほどの難易度で、設問も素直。


(主張の流れ)

1~2段落

・「語る・聴く」……人に話して、わかってもらえると楽になる。わかってもらえなくても聴いてもらえるだけでも楽になる。

・なぜ? 「語る・聴く」ことに何の意味が?

3段落

・「話す」……理由や時系列を整理して、対象化すること。その中で、自分の苦しみとの関係が変化していくことに意味がある(=問2の解答根拠)

4段落

・ダメな聴き方……相手の言いたいことを予想して言ってしまう

→ 3段落の内容を「語り手」ができなくなってしまう。

5段落

・よい聴き方……語り手を受け入れて、反論せず、関心をもって見守り、相手が語るのを待つ(=問3の解答根拠)

→ 3段落の内容を「語り手」ができるようになる

6段落

・聴く、語ること……「ふれあい」と「ぎすぎすしたすれ違い」を生む

・「ぎすぎすしたすれ違い」……一見マイナスだが、実はプラスを生む

→「ぎすぎすしたすれ違い」を積み重ねないと、信頼が生まれないから

7段落(まとめ)

・「ぎすぎすしたすれ違い」……他者との違いを知ること=本当の理解

→それでも、相手を知ろうとしてコミュニケーションを続けることが重要


問3

「どのように聴くこと」が重要か、という問題なので、あくまでも「聴き手側」の立場で答えを作ることが重要。

ここがグチャっとして、「語り手側」を主語にした内容を書いてしまうミスが多そう。(「自分をそのままで受け入れてもらえる」など)

あとは「どのように聴くこと」が重要か、という問題なので、「やってはいけないこと」を長々と書いてしまうのもありがちなミスです。(「あなたが言いたいことはこういうことじゃないの、と誘い水を向けずに」など)

質問を受け止めて、そのまま返すことが最も重要です。


問4

これは字数は長いものの、要するに最終段落の要約問題でしかないので、問3より答えやすいかな、と思います。


大問4(漢文)

出典:『韓非子』


ひさしぶりの漢文出典ですが、見てのとおり高校入試の漢文は最初から書き下しに直されているので、古文と基本的にやることは変わりません。

ただ、漢文独特の言葉づかいに慣れがないとやりにくいと思いますので、多少の練習は積んでおいたほうが安全でしょう。


1行目

・「伐ち」……「討伐」の「伐」であることから意味を考えればよい。


2行目

・「老馬の智」……後ろに「を」を補う

・「用ふべし」……「用ふ=使う」、「~べし」にはいろいろな意味がある。現代語と同様に「~すべき」と訳すか、あるいは「~するはずだ」と訳しておくとだいたいうまくいく。

・「老馬の智」をその後ろで具体的に説明している……つまり「老馬を放てば勝手に進んで道を発見してくれるので、それについていけばOK」ということ(=問2の解答根拠)


4行目

・「地を掘り」……問1「どこの地面を掘ったのか?」という質問。1行目から「今が冬であること」を確認しないと解けない。今が冬なので、3行目「蟻は、冬は山の陽に居り」につなげる。

・「其の知らざる所に」……返り点の問題(問3)。「ざる」の部分が助動詞であることが重要。助詞・助動詞は「漢字であってもひらがなで書く」ことがルールなので、「不」の文字を「ざ」と読む。「知」のところに「知ラザル」と送り仮名を打つわけではない。


5~6行目

問4の解答根拠

・まず「賢人=管仲たち」でさえ、「蟻・老馬=賢くない生き物」の知恵を借りていることを確認する。

・傍線の直前が、「今人=愚心の人間」が出てくることを確認する。賢い人間が馬や蟻の知恵を借りるぐらいなのだから、愚かな人間は、当然賢い人間の知恵を借りなければならない。なのに、それをしないからダメだ、という話。


今年の道コンは難易度を意図的に上げてきているのでしょうか。

昨年度までのtoo easyな国語では少なくともなくなってきているように感じます。

いいことだと思いますよ。

せめて、このぐらいの難易度じゃないと。


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