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2022年学力テストA国語レビュー

更新日:6 日前

今回から学テABCレビューに突入です。

本当は英語も書きたいところではあるのですが、とりあえずいつもどおり国語だけ更新します。


大問1(評論)

出典:鷲田清一「わかりやすいはわかりにくい?」


先に全体構成の話をしますが、この大問1が評論で、大問2が資料&対話問題、そして問3が古文。

ここまではオーソドックスなのですが、なんと大問4で再度評論が出されるという。

これはどういう意味なんでしょう。


いや、大学入試ではよくあることなのです。

北大入試も大問1と2はどちらも評論ですし、むしろ小説が出る国立大二次試験のほうが珍しいですから。


今年の公立高入試が小説だけを出題して評論を一切出さなかったほうが異常事態なのであって、学テAのこの出題のしかたのほうが余程現実的ではあります。


パッと見ると、その公立高入試に対するアンチテーゼというか、意趣返しのように見えなくもないですけど、別に学力テストAが公立高入試に喧嘩を売る必要も特にないでしょうし、どういうことなんですかね?

一応、中学の学習内容をまんべんなく抑えていく、という学力テストの存在意義から考えると、原則論的には小説を外して評論2題にするのは好ましい事態ではないと思いますし。


正直謎なので、ここは来週教育関係者ミーティングがあるので、そこで意見聞いてみたいと思っています。


問題内容ですが、大問1と大問4が同じ評論というだけでなく、内容的にもわりと被っている感がありますね。

大問1が「正解は1つとは限らない、答えは変化する、答えがないものもある」

大問4が「絶対的な正義などはない、正義・正解は相対的なもので、変化していく」

しかも、それぞれ大学入試での定番出典で中学生にはそこそこ厳しいレベルの文章なので、上位層はともかく中下位層には結構きついんじゃないですかね。


問1

ちょっと簡単すぎるのでは。

これだと小学生の漢字テストでしょう。


複数……小5+小3

果て……小4

大事……小1+小3

愛……小4

若い……小6


まぁ「複数」「若い」あたりはともかく「大事」はさすがにやりすぎでは。


あと、これは毎年のように言っていますが、学テABC国語では不公正な採点が毎年必ずどこかの中学校で見受けられます。

今回で言えば、「果(て)」の「(て)」の部分を解答欄に書くと、✕をつけられるケースが予想されますので、一応次回B以降気をつけてください。

バカバカしい話なのですが。


問2

去年の学テAでは確か「独立語」を出題していたかと思うのですが、今年は「接続語」ですか。あえて定番の「主語・述語・修飾語」を外してきますね。

あ、あと今年は去年と違って、選択形式にしてきました。

去年のように「正しい文の成分を書きなさい」と言われても「文の成分」が何を意味するかわかる生徒はかなり少ないでしょうし、この形式のほうが妥当だと思います。


問3、問4

どちらも、基本的な接続語の問題ですが、問4のほうが難しいと思います。

問4は、抜けている一文の中の「二つの解答がともに主張しきれない」という部分じたいが意味がわかりにくいでしょう。

「主張しきれない=二つの主張を、どちらも正しいと言うことができない」

という意味だとわかれば、(A)の直後の

「あると考えても、ないと考えても首尾一貫した説明がつかない」

と内容的に一致することがわかるはずです。


問5

「身近な問題」という言葉だけに引っ張られてエを選んでしまった人はどれぐらいいるか、正答率が気になる問題。

後ろの文「生きていくうえでほんとうにだいじなことは~」……渡り鳥が渡る理由が「生きていくうえでほんとうにだいじ」な人は、野鳥の研究者ぐらいのものでは。

また、その次の文の「たとえば」以降を見ていれば答えはわかりますよね。

傍線部の言葉をしっかりつかむのも大事ですが、文脈も大事。

片方だけで答えを出してはいけないということです。


問6

問題じたいは決して悪くないと思うのですが……

この「書き出し指定」に何の意味があるのか疑問です。

「理解は時間とともに進行してゆくので」と書かれたら、誰でも最終段落2行目「理解は時間とともに~」の場所に注目しますよね。

そして、その直後である最終段落3行目以降を適当にまとめれば、意味が何もわかってなくてもマルがつくという。

わたしの最も嫌いな「理解せず、ただ該当箇所を見つけるだけでも答えが出てしまう」記述問題です。

書き出し指定さえなければ、すごくいい問題だと思います。

(まぁ、そうすると中3学テAにしては難しすぎるという気もします。ただ、それは素材文選びを変えるべきであって、問題文の姑息な調整で難易度を下げるのは本道ではないでしょう)


問7

これも問6と近いですね。

内容的には良い問題だとは思うのですが、「25字程度で1文」という条件の段階で候補が少なすぎて、単に「25字程度の1文」探しゲームになってしまうんですよね。悪い問題ではないのですが、惜しいなと。

問6は「ジグザグ」、問7は「噛む」という比喩をもとに具体的内容に迫っていく問題なので、ハイレベルでありつつも考え甲斐がある内容ですからね。そこを自然と考えられるように仕組んだ問題作りを目指すべきではないかと思うわけです。


問8

ア……「考えることのむなしさ」が✕。こんな内容が試験でマルになるはずがないです。

ウ……前半の内容が「体験をもとに」しているかどうかは判断しにくいですね。明確に「自分の体験」とは書かれていないですが、体験したことのようにも読める書き方なので。どちらかというと、後半の「努力の必要性」で切るほうが確実かも。

エ……これも最後の「順番」がアウトでしょう。

ウとエはちょっと判断しにくいかも。


文章のボリュームは学テらしくかなり短めですが、内容が高校入試レベルとしては高めだと思いますし、問2、問4、問5、問8いずれも引っかかりそうな問題で、これはわりと難易度高いのではないでしょうか。

問6の記述が先ほど述べたとおり「まるまる抜き出し」に近いので、むしろ記述のほうが点数取りやすいかもしれないな、と。


大問2(資料と対話)

メモ、下書き、話し合いという3部構成のオーソドックスな出題です。


問1

頻出問題です。

アやイが正解だと、前の発言者に対してネガティブな発言が含まれるはず。

エは「同意を求めている」箇所がない。


問2

「お~なる」は尊敬語と決まっています。

尊敬語、謙譲語、丁寧語の区別と使い分けについては、Webコース「中学国語基礎Lesson(文法編)」を受講ください。


問3

・「その理由=大学の先生にインタビューする理由」であることを把握する

・3段落冒頭の「そこで=理由→結果を表す接続詞」を把握する。

この2点がわかれば答えがスッと出せるはず。


問4

「具体的にどのような行動をしていきたいか」から、佐々木先生メモの最後「身近にできることを考えて行動する」につなげればOK。


特に変わったところもなく、素直な問題だと思います。

全体的に難易度が高い今回の学テAの中では、確実に点数を取っておかなければいけない問題でしょう。ここを落とすとかなり厳しい。


大問3(古文)

出典:「徒然草」


現代語訳

訳は基本的に直訳ベースで、意訳せずに訳せるところはできるだけ意訳せずに訳しています。

また、訳の正確性は一切保証しません。この訳を引用、利用したことによる損害には一切責任を負いません。


ある技能を習得しようとする人は、うまくできないうちは、なまじ人に知られようとしない。こっそりと良く習ってから、人前に出るのが奥ゆかしくてよいといつも言っているようだが、このように言う人は、一つの芸も身につけることができない。まだ未熟な段階から、上手な人の中に混ざって、悪口を言われたり笑われても恥だと思わず、気にせずにやる人は、天性の才能はないけれど、努力を休むことなく、いいかげんにしないで年月を過ごせば、才能があるのに努力しない人よりは、最終的に上手になり、芸の格も上がり、人から名人と認められて、並ぶもののいない名声を得るものだ。

天下に知られる名人上手と言っても、最初は未熟という評判もあったり、ひどい欠点もあった。それでも、その人は(芸の)道に厳しく、芸を大事にして、勝手気ままな振る舞いをしないので、世間における指導者となって、誰からも師と認められることとなり、これはどの道でも同じことに違いない。


解釈のポイントは以下のとおりです。


(1行目)

「なまじひ」……今でいう「なまじ」。1文字変えるなど、ちょっと形を変えるだけで今の言葉に直せるものは案外多いです。

「知られじ」……「じ」には否定の意味があるのですが、中学では知識として普通習わないですからね。中学生にはちょっときついと言えばきついですが、文脈から何とかなると言えば何とかなる。

「うちうち」……今でも「うちうちの話ですが」のように「秘密」という意味で使える。


(2行目)

「常に言ふめれど」……「めれ=~のようだ」「ど=~だが」の意味。

「かく」=「このような」。しょっちゅう出てくるので覚える。

「習い得る」=「~得る」は「~できる」。


(3~4行目)

「たしなむ」が訳しにくいと思います。

今でも「お茶をたしなむ」みたいに使うので、「やる、実行する、行う」ぐらいでOKでしょう。

3行目後半から4行目はほとんど注を読むだけの作業です。


(5行目)

「聞こえ」=「噂、評判」のような意味があります。あと、同じ「聞こえ」を「~申し上げる」という意味で使うことも多い。

「掟正しく」=今回は「自分で自分に厳しくする」と解釈しても良さそうですし、「その師匠の教えを正しく守った」と考えることもできそう。


(6行目)

「是を重くして」=「重くして」が意味取りにくいと思います。「重視」の「重」だと考えるとわかりやすいかと。このように、訳しにくいときは漢字にもう1字をプラスして熟語を作ると意味が取りやすいケースが多々あります。


上記の意味が取れれば、問題については特につまづくところはないかと思います。

注釈が多いので大まかな意味はそこまで取りにくくないと思いますが、細かいところを気にしだすと中学レベルでは解釈が難しいところがわりと多く、学テ古文としては比較的読みにくい方かな、と。


大問4(評論)

出典:外山滋比古「傷のあるリンゴ」


大問1が鷲田清一、大問4が外山滋比古って、ひと昔前の私立大学の問題みたいですね。


問1

漢字の読みですが、書けと言われたら「概念」「厄介」「筆頭」あたりはそこそこ難易度あると思いますが、読みなら大したことないレベルかなと。


問2

正直、常識的に考えれば本文読まなくてもイしかありえないです。

「本文に書かれてあることが答えになるのが国語」

とは言っても、反社会的なことや荒唐無稽なことを主張する文章が入試で出題されることはないので……。


問3

これも大問1の問7と同じですが「12字ジャスト」で、しかも「指示語=傍線より前」という条件だけで答えが絞れてしまうので、余計な字数制限外せばいいのに、と思います。

「英語では伝わるけれど、日本語では伝わらないことが何なのか」

をちゃんと考えさせないと意味ないと思うんですよね。


問4

大学入試記述の基本レベルといったところでしょうか。

非常にいい問題なのですが、問2や問3との難易度の差がすごい。

「デモクラシー」と「泣きどころ」をそれぞれ順番に説明しようとする姿勢が大事。

まず「デモクラシー=民主主義」とは何かがわかっていないと話がスタートしないんです。

「デモクラシー=民主主義=多数決の原理で動く政治のしくみ」であることを把握しておく。

そして、その「泣きどころ=欠点」を見つけてくると解答にたどりつけます。

難しいのは、その「泣きどころ」が2つあるところです。

①「少数の権利・正義が軽視されやすい」

②「少数を保護しすぎると、多数の経理・正義が軽視されやすい」

という2ポイントが、それぞれ「多数」「少数」の語句指定をヒントに導き出せる。

という流れです。

語句指定だけで解答がスッと抜き出せるわけではないので、考えるヒントとして語句指定が有効に機能する問題かな、と思います。

記述問題の王道、という感のある良問だとは思いますが、どのぐらいの中学生がちゃんと答えられるのかというと、なかなか厳しいものがあるのでは。


問5

これが、問4の具体例になっているところがいいですね。

つまり、問5を理解すれば問4を解くためのヒントになるし、逆に問4の時点で理解できている人は簡単に問5も解ける。

国語の問題は、このように各問題が関連し合って作られることがよくあります。


問6

特に問題ない、簡単な問題かと思いますが、時間切れで書けなかった人はいるでしょうね……。


以上、大問2を除いては全体的に難易度高く、学テABCにしては点数かなり取りにくいのではなかろうか、と。

他教科は、おおむね道コンよりかなり簡単めに作られる学テABCですが、国語だけはそうとも言えないんですよね。


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