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2022年北海道公立高校入試国語レビュー

更新日:3月4日



2022年3月3日実施、北海道公立高校入試のレビューです。


問題と解答(北海道新聞サイト)


いつもですと、各大問ごとに細かく見てから全体についてコメントするのですが、今回は先に全体論を。


裁量問題/標準問題の区分けが廃止され、一本化する初めての入試であり、中学校サイド、われわれ民間教育業者サイドから見ても注目度の高い2022年度入試となりました。


裁量/標準の区分けがなくなった他には、今年から試験時間が従来より5分延長され、配点が60点→100点へと変化しています。


どんな試験が出るのか、共通テストのような「試行試験」「モデル問題」もないわけで、とりあえず今年の受験生は「道コン」をベースにして出題予想をしていた人が大半だったかと思います。


で、道コンは今年、大問1に漢字を独立させて配置して、大問2~5は従来の入試とほぼ同じ構成で出題してきました。


2021年度中3道コンの問題構成

大問1(漢字)

大問2(資料と対話)

大問3(小説)

大問4(評論)

大問5(古文)


こんな感じです。

わたしも妥当な予想だと思っていて、まぁ実際こんな感じだろうと思っていました。

大問1で「詩」が復活するかも、という気持ちもありましたが……


結果的にどうだったかというと、こんな感じでした。


2022年度公立入試の問題構成

大問1(漢字・文法・知識・対話)

大問2(小説)

大問3(古文漢文)

大問4(資料と対話)


大問数がなんと以前と同じく4つのまま。

従来「裁量問題」で毎年扱われてきた、難度やや高めの論説文が完全に排除されていることからも明らかのように、これは過去「標準問題」「裁量問題」で分かれていたうちの「標準問題」とほぼ同一の構成です。


過去の「標準問題」の構成

大問1(漢字・文法・知識)

大問2(資料と対話)

大問3(小説)

大問4(古文)


という感じで、大問の配列が違うだけで基本「標準問題」と同一ですよね。


まぁ、内容的には大問1にかなりおもしろい出題が多く、とても良い問題だと思いました。


それに大問3のボリュームが大幅に上がり、記述の字数も高校入試としてはなかなか多いですし、従来の「標準問題」よりはもちろん難度高いです。


ただ、高校入試から「評論」を排除するというのは、その後高校に入学してからの勉強を考えると、いかがなものでしょうか。


大学入試は、高校入試以上に評論の比重が高く、共通テスト以外の場では小説が出題されること自体がレアケースです。

国語を使って大学入試を戦うということは、半分ぐらいは評論を読めるようにするための戦いでもあるわけです。

その入口にある高校入試で評論を一切出題しない、というのは、少なくとも大学受験を意識して中高一貫指導する立場からすると考えられません。


「みんなが大学入試を戦うわけではない」

と言われたらまぁそれはそうですが、だからそこを分けるために「裁量/標準」で区別してきたんじゃないの? と……。


大学入試のことを抜きにしても、高校の国語が「論理国語」「文学国語」に区分けされ(この区分けにはわたしは批判的ですが、現実として)、従来以上に「評論」にフォーカスが当てられるようになります。

だから、まだ小説あるいは古文を入試に出さないというなら理解できなくはないんですよ。反対ですけど。

その状況の中でなぜ評論を外そうという話になるのか、ちょっと理解しがたいです。


来年からはどうなるのでしょう。

このままの形式で突き進むのか、案外来年は小説が消えたりするのか、予断はできませんので、まぁどっちが出てきてもいいようにやるしかないです。


大問1(漢字・文法・知識・対話)

問1、問2

標準的な出題で、確実に取りたい。


問3

形容詞「みずみずしい」を名詞「みずみずしさ」に変える問題。

さほど難しくはないですけど、盲点を突いた出題で面白いですね。

一般的な塾のテキストだと対応していないのでは?


問4

「事実」と「意見」を分ける、という観点も過去の入試であまり問われてこなかったポイントで、なかなか新しくも良い問題ですね。


問5

忘れたころに出題される手紙文。

ただ、今回は選択肢が「頭語」「時候」「安否」に限られているので、その「頭語」「時候」「安否」の意味を考えれば知識がなくても解けてしまいます。

まぁ、知識がなくても解けるという意味で、ある意味「思考力」なのか……。


問6

「電話をメモに直す」というのは新しい形式といえば形式なのでしょうが、やることは単に「おばあさんとの会話」と「メモ」を比較対照するだけですからね。

古文の本文と現代語訳を比較対照するのと同じですから、特に難しいものではないかと思います。


漢字はともかく、それ以外はすべて工夫が凝らされていて、なかなかよくできた問題だと思います。


大問2(小説)

出典:あさのあつこ「みどり色の記憶」

誰かと思ったら「バッテリー」の人ですね。


本文で読みとるべき流れ

・リード文……おそらく主人公は千穂、重要人物が真奈。


・真奈……パンづくりに夢中、将来の夢にする


・千穂……自分の意志で将来を考える真奈をリスペクト


・千穂……画家への夢があるが、口ごもる

(自分の意志を語れる真奈と自分を比べて、劣等感)


・大きな樹……回想シーンへのきっかけ

(真奈たちと遊んだ、千穂が落ちて遊べなくなった、興味を失った)


・千穂……大きな樹を見たくなって、登る


・千穂……金色の風景と、緑の香りを感じる

→ドキドキして幸せな気持ちに

→絵を描きたい気持ちがこみ上げる

=今見ている美しい風景を写し取りたい


・千穂……絵に関わる仕事に就くのをためらう理由

(医者の跡を継がなければならない)

→ため息、母にわかってもらえそうにない、自分がロボットのよう


・千穂……緑の香りで、母とのエピソードを思い出す

→自分が落ちたときに心配してくれた母

→そんな母なら、ちゃんと話せばわかってくれる


文章のボリュームは去年と比べて1.5倍ぐらいになっています。

大学入試もそうですが、長文化の傾向からは逃げられないでしょうね。

学テABCとはまったくボリュームが違いますので、新・中3生は学テABCベースで文章量を考えないことです。


これを受けて確実に今年の道コンは文章量増やしてくると思いますので、道コンをベンチマークとして考えていくべきです。


ただ、内容はきわめてオーソドックスな高校入試らしいもので、ちゃんと対策してくれる塾などで普通にやっていれば、特に問題なくクリアはできたと思います。

読むスピードが遅い人にはきついと思いますが……。


問1

大問1で漢字を出しておいて、ここでも出すんですね。

大問1があるなら大問1だけでいいような気がするんですが……。

逆にここで漢字出すなら、大問1はやっぱり詩とか短歌あたりにしたほうが中学学習内容とのバランス上いいと思うんですけどね。


問2

文脈上に置き換えて考えれば答えは出しやすいと思いますが、「血相」は漢字のイメージからイとか選んでしまったかもしれないですね。


問3、問4

標準的な問題ですが、問4なんかは、長文読解以前の「基本的な短文読解」に近い問題で、配点を100点に増やした以上はこういう問題も多少あったほうがいいですよね。


問5、問7

記述のポイントは、上に書いた「本文で読みとるべき流れ」を追いかけてもらえればわかるかと思います。

これも従来からの傾向ですが、北海道の入試はかなり細かく問題文に指示を入れてきます。


問5なら

「小学生だったころに」

「大樹の上で」

「どのような気持ちになったのか」

の3点。この3点の条件に当てはまらないところを消去法的に切り落としていけば、変な箇所を答えにして✕になることはまず起こらないはずです。


問7も

「緑の香りが、思い出させたこと」

「それによって、決意させたこと」

の2条件が明確に示されています。

北海道入試は本文読解ももちろん前提ではありますが、問題文の条件把握と、その把握した条件をもとに本文から解答箇所を絞り込むことができれば基本的に点が取れます。


問6

イ……お母さんに「言われた」が✕。まだ言ってない。

ウ……「医系コースに通いながら」が✕。芸術系の高校に行きたがっている。

エ……「ロボットみたい」なのはお母さん→千穂の扱い方であって、表情の問題ではない。


大問3(漢文・古文)

出典:「世説新語」


現代語訳

訳は基本的に直訳ベースで、意訳せずに訳せるところはできるだけ意訳せずに訳しています。


華歆と王朗が一緒に船に乗って戦乱を避けようとする。一人、連れて行ってほしいと頼む者がいた。華歆はひたすらにこれを断った。王朗が言うことには、幸運なことに(船は)まだ広いのに、どうしてダメだというのか(別に乗せてもいいだろう)、と。後で、賊が追いかけてきて、追いついたときに王朗が、連れていった人を(船から)振り捨てたいと思った。(=振り捨てようとした)華歆が言うことには、もともと(わたしが連れて行くことを)ためらったのは、まさにこういうことになるからなのだ。すでにその人の頼みを引き受けているのに、どうして急に(緊急事態になったからと言って)見捨ててよいだろうか、いや良くない。最後まで連れていって助けることを、最初に約束したように行った。世間の人はこのことによって、華歆と王朗のどちらが優れていて、どちらが劣っているかを決めた。


読解上のポイント

1行目

・「難む=はばむ」は漢字からも、読みからも「断る」という意味だとわかるはず。


2行目

・「広し」が、文脈上「船に乗れる場所がまだ残っている」という意味だとわかったかどうか。


・「何為れぞ=どうして」と訳すが、これは基本的に高校レベルの知識。


・「可ならざらん」も、最後が「ざらん」の形から「反語」であることが本当はわかるのだが、これも中学生では厳しい。4行目「べけんや」もあるので、ここも反語なのですが同様に厳しい。

(そもそも漢文句形以前に、古文で「反語」概念を習っている生徒ってどのぐらいのパーセンテージなんですかね……「反語」概念を知らないと今回はかなり厳しいのでは)


・よって、漢文の知識から王朗のセリフの意味をとらえるのはなかなか難しい。ただ、明らかに華歆との対比なのだから、「華歆=船に乗せるのを断った」ことが明らかな以上、「王朗=船に乗せてあげようとしている」と読み取るしかない。そこさえわかっていれば、どうにかクリアはできたのでは。


・傍線部2「王携へし」の「王」は「王様」ではなくて「王朗」。

ここで王様が出てきたと思った人もいたのでは……。


3行目

・「本疑ひし」の「本」は「もともと」の意味。

漢字の意味からうまく現代語を推測しなければいけない。


いずれにせよ学テABC、道コンでありがちな「注釈に頼れば全部読める」レベルの古文でしか勉強していないと、ちょっと苦しかったと思います。


問1、問2

これは基本問題です。

問1は「セリフのラストは『と』の前で終わる」の原則だけで解けるので、ある程度塾などで古文の対策やっている人は即答できたでしょう。


問3

見た目上は「フローチャート」のようで新しく見えるかもしれませんが、要するに本文内容一致問題でしかないので、特段なんということもないと思います。

ただ、本文がよく読めなかった人は、このチャートを見て大まかな流れを予測できたかもしれませんね。その意味では、全体のヒントとなる問題だったかと思います。


問4

「あなたは~考えますか」と問われているので、いわゆる「正解のない問題」です。

これがいわゆる「思考力」を問う問題なのでしょうが、書くべき内容と形式はガチガチに指定されていて、しかもたった二文で「意見+理由」を書くだけですので、解答のバリエーションは実はかなり低いはずです。

正直こういう問題、形式さえ指示どおりになっていて、日本語がおかしくなければ機械的に全部マルにされがちですので、とにかく「指示された形式に違反しないこと」が重要。


自由に立場を選んで答える、とは言え文章の内容的には「華歆」と答えざるを得ないのでしょうが……

「華歆」の立場を選んだ理由を一言でまとめるのは結構難しいかも。


文章全体を把握できた人は、華歆で答えた人がほとんどだろうと思いますが、華歆の優れているポイントを一文で簡潔にまとめるのは案外難しいかもしれません。


大問4(資料・対話)

従来であれば「大問2」に配置されていたタイプの問題です。


105字という字数にビビるかもしれませんが、道コンでもこのレベルは過去からよく出ていますし、また結局は「対話文」の中に出てくるフレーズを引用して解答を作っていくので、自分で作文する必要はほとんどないです。

このへんの字数については慣れの問題でしかないので、入試過去問なり道コンなりで繰り返しやっていくしかないですね。


さきほどから繰り返して述べているとおり、こういう問題もとにかく「問題文の条件」把握と、それに違反しないように解答箇所を絞り込んでいくこと。とにかくこれに尽きます。


今回は


「図書委員の現状」

「委員会としての考え」

「対応策」


の3つが条件として挙げられているので、その3点に対応している箇所を対話文から発見していけばそれでOKです。


「図書委員の現状 → 秋田さん」

「委員会としての考え → 中西さん&小野さん」

「対応策 → 中西さん&秋田さん」


ですね。


ありそうな誤答としては、

「委員会としての考え」のところで、伊藤さんの「要望を出してくれたのに何も対応しないのは申し訳ない」の部分を書いてしまうこと。

あと、「対応策」のところで、伊藤さんの「図書委員が交代で対応する」を書いてしまうこと。この2つは多そう。

いずれも伊藤さんがトラップになってる。


「要望を出してくれたのに何も対応しないのは申し訳ない」のは伊藤さん個人の考えであって、図書委員会全体としての考えではないので✕。

「図書委員が交代で対応する」は、現実的にムリだと却下されているので✕。


あ、でも「図書委員が交代で対応し、ボランティアも募集する」ならOKだと思います。


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