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2021年11月道コン国語レビュー
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大問1(漢字)
(4)「潤む」が若干難しい? そうでもないか……?
全体としては簡単な部類だと思います。
大問2(資料と対話、俳句)
問1は「ディベート」を前提とした舞台設定がちょっと面白いな、とは思いましたが、いつもの資料問題と違って、ほとんど直線的に対話を読んでいくだけで答えが出てしまうので、難易度的にはすごく低くなってしまったと思います。
いつもの資料問題だと、各所に答えやヒントが散りばめられているので、問題文と資料をよく突合しないと見落としが発生してしまいがちですが、今回は資料がAしかなく、しかもAの内容がすごく単純なので、あまり生徒にとって訓練になるような問題ではなかったのかな、と。
問2、ここで俳句を出してきたのは、道コンも来年の入試で韻文(詩、短歌、俳句)の復活可能性を考えているということでしょうか。
わたしも可能性それなりにあると思っていますし、中学教科書でそれなりに扱われるはずの詩、短歌、俳句が一切入試で問われないのはバランス上決して良いことではないと思っているので、そうなるといいな、と思います。
(1)句切れのうち、名詞(雪だるま)が先頭に提示されることで句切れを導くパターンは中学生はあまり見かけないはずなので、やや難しいかも。
ただ、消去法でやっても解けるので、正答率自体はそんなに低くならなそう。
大問3(小説)
読みとるべきポイント
(リード文)
紗英
・思うように活けられない(悩み)
・「思うように」のレベルを超えることが大事(気づき)
→無心で活けてみたら、怒られた
・型どおりでやるなら、やる意味がない(悩み、不満)
(1行目~リード文の繰り返し)
紗英
・自分らしい生け花とは? そもそも自分らしいとは??(悩み、迷い)
・もっと好きなように、型どおりではない生け花がしたい
・そもそも「好き」とは?? 曖昧、実体がないものでしかない(悩み、迷い)
(13行目~)
母
・紗英の悩みを理解 → 穏やかに対応
・型通りにやるのは向いてない
・しかし、型=基礎を身につけることは大事、逃げてはいけない
姉
・根気のなさを指摘(将棋と囲碁の話)
・根気よく紗英を説得
紗英
・将棋はどうでもいいと思う
・その一方、母や姉の「将棋や囲碁の強さ」が自分に欠けているものだと気づいてもいるが、認めたくない
(将棋と囲碁=「根気」「基礎の型を身につけること」の象徴)
(41行目)
祖母
・紗英に呆れ
・型が、自由にしてくれる、自分を助けてくれる
紗英
・祖母の言葉で型の重要性に気づく
リード文でかなり心情が具体的に説明されているのが今回の特徴ですね。
最後、なぜ祖母の言葉がそこまで紗英に響いたのかが若干謎ですが……。
問2
なぜ「向いてない」だと減点されるのか、納得がいっていない生徒が多いのでは。
空欄を含んだ文を読めば、「紗英が感じていること」を書かなければならないとわかります。「向いてない」は母が感じて、母が言ったことなので、内容的には良くてもこの空欄に適しているとは言えないのが1つ。
それと、「向いていない」ですよね。きちんとした日本語であれば。
それを「向いてない」という砕けた形で表現するのは、日本語的にマイナス1点と判断されても仕方ないです。
あくまで「紗英の感じていること」ですから、模範解答にある「苦手だ」でもいいですけど、それよりは「つまらない」「面白くない」のほうが答えとしては適切かな、と思いますが。
「苦手だ」だと、「本当はやるべきことだと思っているけど、うまくいかない」というニュアンスになってしまうかな、と。
この場面の紗英は、そもそも「型通りに活けようとすること」自体にネガティブなので。
全体的に問題がほとんど空欄補充なので、空欄前後を見て本文に照らし合わせるだけで全部答えが出てしまいます。
北海道入試も確かに空欄補充大好きなので、それに寄せる出題にするのは理解できますが、さすがにちょっとやり過ぎですかね……。
問2の資料問題も単純な出題だったのに加えて、問3の難易度も相当に低く、8月、10月に引き続いて今回も全体的にかなり易しい試験になってしまいそうな気配です。
このレベルに慣れてしまって、いきなり本番でエグい出題されたら厳しいですよ。
大問4(説明文)
「複数テキスト」で来ましたか!
大問2の俳句といい、ちょっと出題に色濃く「次年度の予想問題」的な雰囲気が漂っていますね。
ただ……これも「評論」というよりただの「説明文」という内容で、理解しにくい抽象性の高いところがほとんどなく、大問1~3に続いてまたしても極めて難易度の低い出題になってしまっています。
それに、複数テキストとは言いつつも、AとBの文章を関連づける問題が最後の選択問題だけで、記述問題に複数テキスト要素が何も反映されていないのが残念だな、と。
形だけ複数テキストにしてみました、というだけで、実質的な意味があまりないように感じます。
(まぁ、それは今年の大学入試共通テストもそうだったので、あまり批判もできないところですが……)
大問5(古文)
全文訳は道コン解答解説についていますので割愛します。
かわりに、読解にあたってポイントになりそうな箇所をリストアップします。
・1行目「知れる」は注釈に書いてあるのでそれを見ればいいのですが、「エ段+ラ行」を「~している、~した」と訳すことは知っていて損はない。
「飛べる」は、古文では「飛ぶことができる」とは訳しません。
「飛んだ、飛んでいる」と訳します。
3行目の「給へり」も同じですね。「給ふ」が「~なさる」なので、「給へり」で「~なさった、なさっている」と訳す。
・1行目「一つの鯉の」→「一つの鯉が」
「の」は「が」に、「が」は「の」に置き換えできる場合があることを知っておきましょう。
4行目「鯉の名月珠を見て」も同じですね。「鯉が」に直す。
・2行目「死なん」→「死にそう」
古文の「ん」「む」は「not」で訳してはならない。
「~だろう、しよう、しそう」のように訳す。
・2行目「死なんとするあり」→「死にそうなもの(=鯉)がいた」
古文では「もの、こと、人」はよく省略されることを知って、自分で補う姿勢で読むことが大事。
・3行目「鯉来りて」→「鯉が来て」
古文では「が」と「を」がよく省略されるので、自分で補う。
・4行目「去りぬ」→「去った」
古文の「ぬ」は「~ない」と「~した」の2通りで訳す。意味が正反対なので、間違うとダメージ大なうえに、中学生の知識レベルでは文法的に判断することは(特別に勉強していないと)無理。
2つの訳があることを知っておいて、ストーリー、文脈で判断するのが高校受験レベルでは基本です。
ちゃんとした見分け方を知りたい人は当塾に入ってください。
・5行目「とどめられけり」→「やめた、やめさせた」
ひらがなで書かれているところは、極力自分で漢字に直してみることが大事。
すると「止められけり」になることがわかるので、「釣りをやめた、やめさせた」という意味を導けます。
注釈がかなり多いうえに本文も短いので、正直注釈を読んでしまうだけでほとんど話がわかってしまいます。
これもまた難易度低いですね……うーん……。
全体を通じて
今年の中3道コンはほとんど毎回そうなんですが、問題として変なもの、おかしな模範解答、採点基準はないと思います。
ただ、なんでしょう、毎回難易度的にさすがに簡単すぎるだろ、と。
各塾の先生みなさん思ってらっしゃると思うのですが。
次回、次々回どうなるかわかりませんが、多少「厳しい」回を経験してから入試に臨まないと危険だと思います。
ちょっと国語については今年の道コンを復習するだけではマズく、意図的にもう少し難度の高い試験、演習を積むようにしていったほうが(毎年そうなんですけど、特に今年は)いいんじゃないかな、と思います。
12月1日(水)に2022年度新学期の時間割を公開、新規生募集をスタート……
と言っていたのですが、諸事情によりちょっと伸びるかもしれないです。
いずれにせよ近いうちに情報オープンにするつもりですので、延期になった場合はご容赦ください。
この記事を書いている人間の紹介がいちばん上にあります。