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2021年学力テストB国語レビュー

更新日:2021年10月27日

学テBからわりと日が経ってしまいまして、遅れての国語レビューとなります。

そうこうしているうちに10月道コンまで終わってしまったので、これを書いたらすぐに今後は道コンレビューを書かないと……


学テB直後に修学旅行が重なったこともあって、問題入手がなかなかできなかったせいでもあるのですが、わたし自身の参考書作業がここ一週間わりと大詰め状態であり、なんか妙に忙しい感じになってしまい。


前回記載したとおりのワクチン休暇ですっかり体調が良くなった効果もこの一週間でほぼ切れ、いつもどおりのぐったりした感じの毎日となっております。


では学テBレビューです。

学テAはなかなかの良作良問だったと思いますが、さて今回はどうだったのでしょうか。


10月道コンのレビューはこちら


学テAのレビューはこちら


過去のテストレビューはこちら

(道コン、学テABC、公立高校入試)


大問1(詩と鑑賞文)

室生犀星というなかなか渋いチョイスです。


問題は……わたしは嫌いじゃないのですが、空欄補充中心のオールドスタイルな国語の問題という感じですね。

「北海道入試に合わせよう」という意志を一切感じないのは逆に潔いぐらいですが、中学生も保護者も多くは「学テABCみたいな問題が入試でも出る」と思っていますからね。

道コンを受けない受験生であれば。


学テABCと入試は、まったく別モノの試験です。

同じような問題が出ると思って入試に突入すると悲惨な結果になりかねませんので、必ず入試の過去問あるいは道コンを受けたほうがいいですよ。本当に。


この大問1は、表現技法、詩の形式、心情把握とバランスよく韻文読解の基本が学べる良問であるとは思いますけどね。

でも入試とはまったくスタイルが違います。


問1

「一定のリズム」と言うのは、日本語の詩で代表的なものに「七五調」「五七調」があります。

ここでいう「七五」「五七」というのは、「五七五七七」のアレと同じです。

つまり、和歌や俳句のようなリズムが、ずっと詩の中で続いていくような感じですね。

逆に言えば、そのぐらい明らかに同じリズムがパターン化されているような詩でないと「一定のリズム」とは言われない、ということです。


問2~4 

基本的な読解、表現技法の知識ですので確実に取りたい問題。


問5 

これはちょっと戸惑ったかもしれません。

空欄直後に「願望」と書かれているので、「願望」を表す4文字の名詞を探そうとしたのではないでしょうか。

ただ、「願望」を表すような4文字の名詞は詩の中には何もない。

となると、「4文字」にこだわって「願望」に関連する内容を引っ張り出すしかないわけです。すると、名詞ではなく、述語部分「ありたい」「なりたい」であれば「願望の4文字」という条件にハマることがわかります。


問6 

これもなかなか難しいですね。

何を求められているのか見抜けないと、問題の意味がよく理解できなかったのでは。

これは、空欄の後ろを見ないとダメなのです。

空欄の後ろに「『気がする』という婉曲的な表現を配し、文末に変化をつけています」と書かれてある。

ということは、空欄部分は「婉曲的な表現」の反対の意味が来なければ意味が通らない。

よって「断定」が含まれたものが正解になるはず。

よってアが消える。

するとイは「仮定」、ウは「疑問」、エは「否定」が残るので、「ひけをとらない」は「ない」が含まれるので答えは「否定」でエ。


このように導きます。

「婉曲」の意味は中学生にはかなりレベルの高い語彙なので、そこはちゃんと注釈に書かれてあります。

「注釈」もちゃんと見ないと点数は取れないよ、という出題者からのメッセージだととらえましょう。

大問2(古文)

だいたい大問3に配置されるのが常だった古文がなぜか大問2に。

まぁどうでもいいですが……

ただ、読解カロリーの高い小説と説明文を両方とも後半に回すのはどうなんですかね。

今回、時間配分ミスった生徒多かったのでは。


しかし、室生犀星に続いて風姿花伝とは、チョイスが最高ですね今回。

とても良い。


現代語訳

訳は基本的に直訳ベースで、意訳せずに訳せるところはできるだけ意訳せずに訳しています。(村上が実際読んだように訳していますので、学術的な正確性は保証しません)


能舞台における魅力、つまり「花」は、秘密にすべきことであるのを知らなければならない。秘密にするから魅力なのであって、秘密にしないならば魅力にはならない、ということである。この区別を知ることが、「花」の秘けつなのである。

そもそも、全ての事、様々な芸の道において、それぞれの家に秘密の事があるというのは、それを秘密にすることによって大きな効果があるからである。

よって、秘密の事とされている事を明らかにすると、大したことではないものである。これを、「大したことではない」と言う人は、まだ秘密にすることの大きな効果を知らないからである。

まず、この能舞台の魅力について代々伝えられる教えにおいても、「ただ珍しいことが魅力なのだ」と皆が知っているならば、「それでは珍しいことがあるのだろう」と最初から思っているような見物客の前で(能を行うことになってしまうため)、たとえ珍しいことをしたとしても、見物客の心に珍しいという感動は起こるはずがない。見物客にとって、「花=秘密」を知らずにいるからこそ、演者の「花=魅力」になるはずである。


問4

漢字1字という指定から考えて、まぁ「花」しかないだろうと推測はできると思うのですが、実際問題なかなか含蓄のある文なので、ちゃんと考えると結構難しいです。

「花」という言葉に「秘密にすること」「秘密にすることによって魅力が生まれること、その魅力」という2つの意味がこめられているんですよね。

直前の「見る人のため花ぞとも知らでこそ」の「花」は前者の意味あいで用いられ、空欄の答えにある「花」は後者の「魅力」という意味で用いられている。ここにズレがあるので、本当に答えが「花」でいいのか確信が持てなかった人もいるかと思います。

(そこまで考える中学生がいたら逆にすごいですけど)


あ、あと文法的に「見る人のため花ぞとも知らでこそ」の「で」が「打消=not」であることは必ず覚えておいてください。

これ知らないと意味を大きく誤解してしまう可能性があります。


その他の問題は特にコメントの必要ないかと思います。

上記の大意が理解できれば正解は容易でしょう。


大問3(小説)

室生犀星、風姿花伝という渋めチョイスの後は、思いっきり第一線の現代作家を持ってくる。バランスいいですねぇ。作品チョイスのセンスは道コン以上では。

まぁ、学テはなぜか大問1つをペーパー1枚で収めるように作られているので、ボリューム的に入試よりかなり短くなってしまうのが残念なところですが。

ここも実際の入試と大きく異なる点です。


問1

標準的なレベルだと思います。


問2 

「ない」の識別はほぼ一発で見抜く方法があります。

「ありません」に置き換えできたら「形容詞」。

「ず/ぬ」に置き換えできたら「助動詞」。


ただ、なぜそうなるのかを理解するにはある程度体系的に国文法を勉強しなければならないので、なぜそうなるのか知りたい人は当塾に受けに来てください。

「そんなの興味ない」という生徒さんはたぶん当塾に向いてないのでおすすめしません。


1 届くはずも「ありません」

2 重くなりすぎ「ぬ」

3 常に「ありません」

4 見たことの「ありません」

→よって答えは2で、助動詞ということになります。


4は違和感ありますが、日本語で「の」は「が」に置き換えできることが多いです。見たこと「が」ありません、なら違和感ないので、これも「形容詞」と考えます。


(読み取るべき心情、その他ポイント)

(1~2段落)

「少年」と「わたし」が向かい合う

→お互いに「あ」と思う、様子を探りあう


(3~4段落)

「少年」と「わたし」の対比

→金持ちである「少年」、貧しい?「わたし」

→わたしの「恥ずかしい」心情が生まれ、「どぎまぎ」する


(4~5段落)

「わたし」の状況説明

→「川で水くみ」=労働

→「石塔づくり」=一人遊び=「唯一の」娯楽

(ほかに楽しみはない)


(6段落)

「無為に過ごせる時間」が少ない理由

→理由1「水(=煮炊きのため)」を家族が待っている」

→理由2「時間が経つと、太陽が昇って帰りが灼熱地獄」

→それでも、石塔づくりを続ける

(石塔づくりが楽しい? 少年のことが気になって?)


(7段落)

「足りない石を探すふり」「少年を意識しつづけた」

→ほかの子ども(=全員金持ちそう)が集まってくる

→少年はそちらに気をとられて、わたしのことを意識しなくなる


(8段落)

その結果「穴の空いた樽のような気分」になる

→問5の答えは6~7段落の内容。

→帰ろうとすると、「光るもの」が飛んでくる


(9段落~)

「少年」が投げてきた平たい石だった

→「熱い血脈のよう」という比喩で表現

→「ふたたび目が合う」「約束」

(また会うという?)

→「少年」の言いたいことをさぐる

→お互い意識しながらも、交わらないまま


問3、問4、問6はおそらく問題ないと思いますが、問題は問5でしょう。


問5

「穴の空いた樽のような気分」に「わたし」がなった理由はそこまで明確に本文中に説明されていないので、「本文の言葉だけを使って」書こうとすると模範解答のように書くしかありません。

ただ、もう一度模範解答を読み直してみてほしいのですが、この模範解答だと

「結局なぜ穴が空いたような気持ちになるのか?」

「目が合う回数が減ったことに何の意味があるのか?」

がハッキリと示されない、曖昧な解答であることに気づくでしょう。


そこを明確に示そうとすると


「少年とお互い意識し合っていたのに、少年と似た境遇の仲間が集まったことで少年が自分を意識しなくなり、疎外感をおぼえたから。」


のような解答になるでしょう。

ただ、こんな解答を書ける中学生は世の中にそうそういないですし、逆に「本文に書かれていない」と評価されて△、あるいは✕にさえされかねません。


高校入試、特に学テABCって「そういうもの」なんですね。

「そういうもの」だと割り切らなければ高得点にならない。


内容を深く突っ込んで、自分の言葉で読み手に伝わるように書く、という高度なことはまず求められず、本文の言葉をそのまま使ってそのままツギハギすることがむしろ良いとされてしまう世界です。


特に学テABCは中学校の先生が採点するわけですから、融通の利かないケースが多く、うわべの形がちょっと違っているだけで✕にされる可能性が現実的に高い。

ですので、高校入試国語、特に学テABCで高得点を取ろうと思ったら、基本的に「自分の言葉」に置き換えてはいけない、と思ってください。

あくまでも答えは「本文の言葉」で作っていくもの、という「見えないルール」があるのに等しい世界なのです。


ただし、これはあくまでも高校入試ローカルルールでしかないですから、大学入試でこのような答えを書いても上位大学ではまず評価されません。

今言ったことはあくまで「高校入試」をクリアするための話ですので、もっと上のレベルを目指すときには考え方をリセットする必要があります。


大問4(評論)

問1 

「覚えて」の「かんむり」の形に気をつけましょう。


問2~4 

標準的な内容と思います。コメントは特にありません。


問5 

「家族も同じく」という部分が大ヒント。

「家族以外の人間と、一緒に時間を過ごす」という内容が前に来なければいけない、ということが、問題文を見るだけでわかってしまいます。

問題文は答えを出すためのヒントが詰まっているので、問題文から情報を読み取れるようにすることは、本文の内容を理解するのと同じか、下手するとそれ以上に重要なことなのです。

ただ何となくA~Dに全部ブチ込んで答えを決めることのないように。


問6 

「老年」のほうは良いのですが、「若者」のほうの模範解答(としてわたしが入手したもの)はちょっと不適切だと思います。


若者「老年層が若かった時代より豊かな生活はしているが、将来性を気にして不安を抱いているから。」


老人は昔を知ってるわけですから「昔より良かった」と比較できて、その比較の結果満足度が上がる。これは理解できます。

でも若者は「老年層が若かった時代」をそもそも知らないわけですから、「若者の人生満足度が低下する」理由にはあたらないですよね。知らないものは比較できない。

むしろ「昔を知らない」ことそのものを「満足度が低下する理由」として記載すべきでしょう。


若者「老年層と異なり昔と比べることができず、自分が生きていく未来を気にして不安を抱いているから。」


こっちのほうが解答として適切だろうと思います。

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