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2021年学力テストA国語レビュー/指定校制推薦セミナー

昨日、札幌日大高校・斎藤教頭にご来塾いただき、イベント授業「大学入試 指定校制推薦セミナー」を開催することができました。


主なメニューは以下のとおりでした。


・推薦の基本的な仕組み

→どんな種類があるのか、どんな人が使えるのか、難易度は、メリットデメリットは?

このような、聞いたことがあるようで意外とわかっていない大学入試推薦制度のシステムを詳細に説明していただきました。


・大学別の推薦入試の状況

「北大」「東大京大」「医学部」「道内国公立」「道内私立」「道外私立」

の6カテゴリーに分けて、それぞれで実際どのような推薦入試を行っているのか、狙い目はどこなのかをレクチャーしていただきました。

「道外私立なんて無理」と最初から除外してしまう人が多い分、指定校推薦の「道外私立」は本当に狙い目で、うまく使えばオイシイところいっぱいの制度だと思います。ここを是非知っておいていただきたかった。


・志望理由書について

わたし(村上)の授業内容に沿っていただいたうえで、実際に生徒が書いた志望理由書を分析していく時間も取っていただきました。

基本的な志望理由書の作り方がイメージできたかと思います。


かなり中身の詰まった濃い2時間だったと思います。

斎藤先生ありがとうございました。

内部生・提携塾生限定ではありますがWeb受講も可能です。

ご興味ある方はお声かけください。


では、今日は「2021学力テストA国語レビュー」です。

今年もやっていきます。

去年はかなり激しめに批判した学テAでしたが、今年はどうだったのでしょうか。


大問1(随筆)

昨年に引き続き大問1は随筆ですね。

星野道夫さんですか……

余裕があったら、この著者がどのような人なのかを調べてみるのもいいかもしれませんね。


問1 

5の「甲板」は難しいですね。これは大学入試で出題しても正答率かなり低く出ると思いますよ。できたらスゴイ、できなくて普通ぐらいの気持ちでよいと思います。


問2 

音読み・訓読みは最近ちょうど国語クラスで集中的に扱っていたのですが、「毎」が音読みであることは問題ないでしょう。

問題は「夜」ですね。

「ヤ」が音読みで、「よ」だと訓読みなんですよ。これ。

だから「マイ+よ」なので「音+訓」。


「よる」だったら多くの人が訓読みだとわかるでしょうから、「よ」はつまり「よる」と同じ系統の発音である、よって訓読みである、という推測ができればなんとか答えは出せたかと思います。


あと、消去法も実は有効な問題でした。

ア「外国」は明らかに音+音ですよね。

ウ「何日」も「『ン・チ』で終わる読みはほぼ音読み」という法則がありますから、これも音+音だとわかるわけです。

ということは、「音+音」が答えになるわけがないんですよ。

え? そんな法則あったの?? という方は当塾で受講するか、「やさしい中学国語」に書いてますのでそちらをご購入ください(宣伝)


ただ、それでも音読み訓読みの問題の中では難易度高めだと思います。

問1の5から、2連続で難度の高い問題が出たので、ここで出鼻をくじかれた感じになってしまった生徒多いでしょうね。

国語は「勢い」もわりと大事ですので、冒頭の問題で連続で解けないものがあると意気消沈してしまいがちなのです。

そこを持ち直すメンタルも実力のうちですからね……。


問3 

「反応がない」友人の様子、それを受けたわたしの「予想もしなかった」「がっかり」という心情を把握すれば解答は容易でしょう。標準的な問題です。


問4 

特にコメントすることはない、標準的な問題です。


問5 

去年わたしが「35字の書き抜きを全部写経させる意味は何かあるのか?」と批判したからではないでしょうが、今年は「最初と最後の5字」になっていましたね。これでいいじゃないですか。

内容はごく標準的だと思います。


問6 

おそらく、間違えた生徒の多くは傍線部後ろの

「計画を両親やまわりの人間に話しても、誰も取り合ってくれはしなかったから」

という内容を書いて✕をもらっているのではないでしょうか。

これ、なんでダメか学校で説明されましたか?


この答えだと、時系列的に次のような流れになってしまいます。


「一緒に行きたかった友人に、アメリカ行きを断られた」

→「親や他の人(友人、親戚、先生とか?)にも声をかけてみたけど、そっちにも断られた」

→「仕方ないので、ひとりで行くことにした」


実際にこういう流れだと思って書いたのかもしれませんが、ちょっと冷静になってもう一度考えてみましょう。


「絶対こいつと一緒に行くんだ!」と熱く願っていた友人に断られて、「じゃあ別のやつでもいいか」って思って他の適当なやつに声かけますか? 軽くないですか??

もっと言うと、自分の父親母親に「いっしょにアメリカ行こうよ」って言います? 普通言わないですよ。


つまり、この文章で書かれている実際の流れはこうです。


「一緒に行きたかった友人に、アメリカ行きを断られた」

→「こいつに断られるなら、もう一人で行くしかない」

→「一人で行くという決意を、親や他の人は誰も理解してくれなかった」


こっちのほうがずっと自然ですよね。

だから、問6の模範解答のような内容が正解となって、前述のような答えだと✕になってしまうということです。

学テには文句ばっかり言ってきたわたしですが、これは学テの模範解答で特に問題ないと思いますよ。


問7 

「文中の言葉を使って」と言われて20字以内なら、まぁここしかないでしょうね。あまり中身のない答えになってしまっていますが。


大問2(対話)

学テが100点満点化されたことによって、唯一大きな変化があったと言ってよいのが大問2でしょう。

従来は、最近流行の(もう「最近」ではなくなった感がありますが)資料問題、対話問題に一応形式上は合わせていましたが、実際には道コンや入試本番で出るような記述形式の本格的な問題はなく、ただの抜き出しレベルか選択問題中心の出題にとどまっていました。

それが、今回問7で比較的入試本番で見られるような長く、条件がつけられた本格的な記述形式が登場することとなります。


しかも話題がゲームの利用時間を制限する条例とは、なかなかホットかつ攻めた内容で来ますね。

今年の学テ、ちょっと去年までの体たらくとは一味違う感じじゃないですか……?


問1 

文の成分を問う問題で「独立語」を問う問題もレアですが、それよりもそもそも「文の成分」と問われて何と答えていいかわからない生徒が結構いるのではないでしょうか。

「主語・述語・修飾語……」みたいなやつのことですからね「文の成分」って。

だいたいの入試問題では選択肢が用意されて「ア 主語  イ 述語……」のように選ぶことが多いので、あまり「文の成分」という用語じたいを意識して勉強している人って多くないと思うんです。


問2 

問1で文の成分を聞いておいて、問2でも文の成分を問うという変わった構成ですね。まとめて同じ問で出せばいいような気もしますが。


問3 標準的な問題です。道コンでもよくありますよね。

なんか、以前よりも明らかに道コン・入試に寄せてきてますよね今回。


問4

阿部さんをバッサリ斬り捨てる杉本さんがいいですね。

阿部さんしかもこの一回しか発言していないんですよ。かわいそうに。


問5 

ウで間違えた人が多少いるかな?

一応ゲームの話をしてはいますので「全く関係のない」とまでは言えないですからね。

この流れで「私は体重を気にせずハンバーガーが食べたいです」だったら答えはウですが。


問6

これも、特にコメントすることはない標準的な問題かと思います。


問7

条件にさえ違反しなければ、どうということはないレベルですね。

「賛成」で書くなら「賛成にふさわしい理由」を。

「反対」で書くなら「反対にふさわしい理由」を。

レベル低めの採点だと(今回の模範解答を見る限りは、決して高いレベルの回答が求められているとは思えません)「とりあえず理由として書かれていればなんでもOK」みたいになりがちです。

ただ、やはり上位校を受けるのであれば「ちゃんと賛成の/反対の理由として成り立っているかどうか」まで見られると考えておいたほうがいいですよ。


大問3(古文)

現代語訳

訳は基本的に直訳ベースで、意訳せずに訳せるところはできるだけ意訳せずに訳しています。

また、訳の正確性は一切保証しません。この訳を引用、利用したことによる損害には一切責任を負いません。


総じて、人が腹を立てている時に強く制すれば止めると、ますます怒り出す。燃え盛っている火に少しの水をかけようとしても、その意味はないだろう。であれば、その場、その時の人の意向や様子にあれこれと気を回して、おだやかに注意すべきである。君主がもし愚かだったとしても、賢い家臣たちが助け合えば、その国が乱れることはないだろう。親がもし気ままに振る舞っていても、孝行な子供が気をつけて逆らわずにいれば、その家は無事なままであるだろう。重いものであっても、船に乗せてしまえば沈まないのと同じことである。


ちょっと、時代錯誤な封建的思想を押し付ける文章で、今の時代にこういう文章を無批判に出すのはどうかなぁ……という気もしますが、まぁ古文ですからね。ある程度はしかたないのですが。

ただ、やはりこういう文章こそ「生徒AとBと先生の対話」とかと併用して、もう少し現代的な意味を持たせた問題にしたほうが実りは多いんじゃないかな、とも思います。


問1 

「全てひらがなで」に注意、というだけの問題です。


問2 

前の文との「対句」性に気づけば一瞬ですが、気づかないと結構困ったかも。模範解答を見て「なんだよ、それだけかよ」と思った人は多いでしょう。


問3&問4 

今回の学テ、最大の問題の一つはおそらくこの問3&問4でしょう。

問題が悪いんじゃなくて、採点の問題です。

問題は何も悪くありません。


問3の模範解答は「おだやかに注意すべきだ。」となっているかと思います。

この解答じたいには全く問題ないのですが、問題文が「どうすべきだと述べていますか」という形式で問うているため、「~すべきだ」という形で書かれた解答以外は減点にされる、ひどい場合には0点にされるという事例が多発するだろうと思われます。


問4も同じで、「どのような立場の人」という質問文のために、最後が「人」で終わっていないと△、あるいは✕になる採点がすでにFiveSchools生でも確認されています。

つまり「国を治める主君」という答えが✕、つまり0点と採点されてしまう可能性があるわけです。


「お前の脳内世界では馬が主君になる可能性があるのか?」

と呆れる以外にありませんが、現実としてこういう異常に硬直的な「文末」へのこだわりを持つ国語の先生がわりと至るところにいるのが現実です。

こんな異常な採点に合わせるだけバカバカしい話ですが、どうしても学テの点を上げたい事情があるのであれば「質問文の形式」をよく見て、それにピッタリ合った形で答えるようにしたほうが安全ではあります。


入試本番でも、悲しいことに高校入試の採点担当者が同様の採点をする可能性も否定はしきれないですからね……。

「高校入試で✕になるかもしれないから」という理屈で、このような異常に硬直化した採点を正当化する中学の先生も多いのですが、またそれがあながち的外れだと言いきれないのがなんとも。


大問4(評論)

問1

適切なレベルの出題だと思いますし、東西南北クラス受けるなら全部取れていてほしいです。ただ、2~4あたりは「旧・標準問題」レベルの受験生は壊滅的になってそうな気もします。


問2~4 いずれも標準的で、特にコメントはありません。


問5

今回の学テ、採点上大きな問題となりそうな二つのうちの一つがこの問5です。

まず、問題文の指示「具体的にはどのように変化しましたか」という問い。

「具体的に」という指示は、一般的には「具体例に限る」ことを意味しません。

「傍線部の抽象度の高い説明を、より具体的に意味が通る表現へと書き換えよ。場合によっては具体例を用いるのもよい」

という意味でしかないのですが、なぜか学テの世界では「具体的に=具体例」と解釈され、「具体例を用いて説明していないものは✕」、もっとひどい場合には「具体例が書いてあっても一般化した説明になっているものは減点」というような曲解がなされるケースが過去に何度も観測されています。


今回で言えば

「鎌倉時代=角がない鬼、牛や馬のかたちをした鬼」

「江戸時代=角をもち虎の皮のふんどしをつけた鬼」

というのが答えです。

まぁ「具体例」ではありますし、この解答でマルを与えることに特に異論はありません。


そして、この内容を「一般化」した形で回答してみるとこうなります。

「鎌倉時代=今の基準では鬼と判断されないような鬼も含めた、多様な鬼」

「江戸時代=画一化、典型化された現代と同様の鬼」

この解答だと、たしかに「具体例」がないぶん、「それは結局どういう鬼なの??」とツッコまれてしまうでしょう。この答案に満点を与えることは、わたしも適切ではないと思います。

ただ、0点にすべきかというと、それはそれでおかしいでしょう。

つまり「具体性」こそ多少欠いてはいるものの、本文のポイントはきちんとおさえられているわけで、かつこの問題は6点問題で十分に中間点を与える余地のある問題です。

「具体例」が書かれていない、という一点のみでこれを0点と扱うのは決して国語の試験として適切な評価の仕方ではないのです。


とかく、学テABC、もっと言うと中学校の国語採点は「ALL OR NOTHING」に過ぎる傾向があります。

保護者のみなさまにおかれましても出された表面上の数字だけを見て、その中身を精査しないと、生徒の努力、思考を適切に評価できなくなってしまうかもしれません。

これは今年に限った話ではなく毎年毎年起こっていることですので、とにかく中学校の国語採点は「数字だけで判断するな、内容まで見よう」と声を大にして言っていきたいところです。

特に上位校志望者になればなるほど。


採点の話は置いておくとして、問題の質じたいは去年の学テAから考えると見違えるほど良くなったと評価してよいと思います。

このまま、学テBも良問そろいになると良いですね。

学テABC過去問講座をスタートしてしまった手前、学テABCの質が高まることはわたしにとってもとても好ましいことなのです。


では、次回は学テBレビューでお会いしましょう!

そして来週から、ついに「FIVE学習会スタッフ」によるブログがスタートする予定です。

わたしも非常に楽しみにしています。

そちらもぜひよろしくお願いいたします。

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