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2021年8月道コン国語レビュー

更新日:2021年8月18日

とうとう第2回道コンも終わり、いよいよ中3は受験感が出てきましたね。

このへんで受験感出していかないと本当に終わりますので、受験感が出ていないひとは積極的に出していきましょう。



ということで、第2回道コンの国語レビューです。

去年から、道コン、学テABC、共通テスト(今のところ第1日程しかできてませんが)、公立高校入試の「国語」について、毎回フルで感想、講評を書いております


こんなの同業者しか読んでないだろ、と思って書いてたんですけど、意外とリアル中3生あるいはリアル中3生保護者さまから「レビュー読んでました」と言われるケースがあり、それならがんばって書く甲斐もありましょう、と今年も継続して行っていきます。


中3 大問1(漢字)

どちらかというと読みのほうが難しめかな、と思いますが、まぁ全体的に標準レベルだと思います。


中3 大問2(資料、対話)

対話・資料系の問題では、毎回必ずリード文を読んで「前提条件」の確認をしましょう。

今回でいえば、


・B中学の生徒が客、A中学の生徒会がホスト役

・自然公園を案内するルートを決める

この2点を最初におさえます。


次に、対話文そのものや、資料そのものを読むよりも、まず「問題文で何が問われているか」を先にチェックしてしまったほうがまず間違いなく効果的です。

場合によっては特に解答を出すのに必要ないダミー情報がいっぱい混じってたり、どうでもいい会話が比較的長く続いたりすることもあります。

あまりに雑多な情報があるときは、そこに何らかの焦点を絞って情報を整理していかないと、何をどうしていいのか身動きがとれなくなるんですよ。

あくまでも「問題に対して適切に答えること」が国語でわれわれに課せられたミッションなのですから、軸足は常に問題文に置くようにしなければうまく点を取ることはできません。


問1

よって、まずは「歴史村がダメな理由」という設問要求を確実につかまえることが必要。「資料Ⅰ&Ⅱ」から読み取れること、という設問条件も同様につかまえる。

この2点を押さえれば、「資料Ⅰ=時間が足りない」「資料Ⅱ=B中生、歴史に興味なさげ」がそれぞれポイントであることはすぐに導けるでしょう。

ただ「時間が足りない」というのは相対的なものなので、本当のことを言うと「持ち時間」を確認しないと足りるのか、足りないのか、足りないとすればどのぐらい足りないのか、がわからないんですよね。

今回の採点基準表を見ると「時間が足りない」ことさえ分かれば満点はつくはずですが、「持ち時間が2時間しかない」という情報は解答に組み込んだほうがより適切な解答であるかとは思います。(模範解答例はちゃんとこの要素が含まれたものになっています)


問2

空欄問題は前後の情報から解きますが、今回は全部選択肢が「疑問文」になっているところに注目したいです。

これは英語の長文問題でもよく出ますが、疑問文が空欄の場合は必ず「後ろにある答え」が根拠になりますし、逆に「答え」の部分が空欄になっている場合は「前にある疑問文」が解答の根拠となります。


問3

短い記述ではあるものの、案外やらねばならない処理が多く、ポイントの見落としをした生徒はそこそこ出るかもしれません。


(空欄前後から読み取るべき情報)

「広場を出た後にすること」「右回りルート」「その後で、来た道を戻ること」「その後で、展望台に行くこと」

→この時点で、「池」「自然交流館」のどちらか(or両方)に関することが答えになると判断できます。


(「話し合い」の中から読み取るべき情報)

「池」の話が「話し合い」の中に全然ないので、答えは「自然交流館」に関する内容だと確定できます。

鈴木さんのセリフから「自然交流館でお土産を見る」「自然の楽しみ方を教えてもらう」の2点がポイントになると判断。

念のため「資料Ⅰ」の「自然交流館」のところを見て、その他に書くべき内容が特にないことを確認しておいたほうが安全。


「お土産」の話を忘れて6点中4点になった生徒とか結構いそうですね。


中3 大問3(小説)

「対立と分断」という、なかなか現代的なテーマが根底にある小説で面白いですね。


(読み取るべき心情の流れ、内容)


リード文

・地元民とニュータウン民で対立(子どもも)

・幸雄(主人公)&桐人は地元民

・桐人が地元の祭りで女装

→ニュータウン民がからかう


本文

・幸雄 ニュータウン民とも行動する、桐人がからかわれるのを止めない

→自衛したい、有利な側につきたい

→そんな自分をコウモリみたいだと思う


・桐人 ニュータウン民にからかわれても気にしない

→幸雄 罪悪感がやわらぐ、変わっていると思う


・幸雄 桐人にどう思われているか気にする

・桐人 コウモリみたいな幸雄を責めない

→幸雄(桐人が優しいというよりも)どうでもいいと思われているのでは?


・桐人 幸雄の祖父に気に入られている

→土地の昔話や古文書のことを祖父から聞かせてもらいたい


・幸雄 桐人のことを嫌だと思う

→幸雄 比較されて両親から小言を言われる、嘆かれる


回想シーン

・幸雄 祖父にかわいがってほしい

→(桐人のように)昔話や古文書のことを祖父に聞く

→祖父 ごますりを拒否

→幸雄 恐ろしい、叱られているよう、二度と頼みたくない


「『対立と分断』という、なかなか現代的なテーマが根底にある小説で面白いですね」と言ってはみたものの、こうして読んでみるとそこは今回切り取られた箇所のテーマではなく、今回はあくまでも「桐人に対する幸雄の嫉妬」のほうが全面に出た話になっていましたね。

このように、リード文の内容から予想できない方向に話が転がっていくことは小説ではよくあります。


問1

桐人が明らかに子どもたちと普通に会話しているので、エ「子どもたちと関わることを嫌い」が✕なのはすぐにわかると思います。


問2

上のリストから、「コウモリ」の説明が読み取れていれば問題ないでしょう。

「コウモリ」が「有利なほうの味方になろうとして、すぐに人を裏切る、筋を通さない人間」の比喩であることは知識として持っておいたほうが良いですね。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8D%91%E6%80%AF%E3%81%AA%E3%82%B3%E3%82%A6%E3%83%A2%E3%83%AA


問3~4も、上のリストが読み取れていれば問題ないでしょう。

小説は、とにかく「原因・状況」「心情」「反応」の3要素に還元して文章内容を分析していくことです。これら3要素の中に解答が含まれていることがほとんどです。

(その3要素を抜粋して並べたのが上のリストです)


ただ、これはわたしではなくて鷹取先生が気づいたことなのですが、問3が①②合わせて9点、問4が8点ってちょっとバランス悪いような気もしなくはないですが……。


あと、鷹取先生が気づいたことがさらに一つ。

本文中の「嘲る」「嘲笑」にフリガナふってないんですよね。

調べてみたら漢検2級レベルなので、普通フリガナ要りますよね。

「怖かった」になぜかルビふっているのも謎だし。


中3 大問4(説明文)

円山応挙の話を国語で見たのは初めてかもしれません。

関係ないですけど、円山応挙といえば「応挙の幽霊」という名作落語があります。

https://www.youtube.com/watch?v=tNjJyE8oJ_o


問1

基本的な助詞の識別問題。解説に書かれているとおりで、特に付け足すべきコメントはありません。


問2

傍線部なしで、設問文から要約させるという、比較的最近流行している問題形式です。ショボい傍線説明問題に慣れ切った生徒は「傍線の近くを適当にコピペして書く」クセがついてしまいがちですから、そのクセをなくすには最適の問題形式なんですよね。

入試も学テABCも、どんどんこういう問題を出してほしいと思っています。

(傍線前後をコピペしても1点にもならない傍線説明問題でもOKです)


ただ、問題文に「そのような見方をする理由を明らかにして」と書いてますからね。

こういう「条件」を見落とさないことは国語で高得点を安定して取るための絶対条件です。


内容的には、文章前半はあくまでも「子どもの視点」の説明であることを読み取れたかどうかです。「いつもと違った新鮮なものの見方」とか書いても1点にもならないのはそういうわけです。

17行目に「一方、おとなになると~」と書かれているわけですから、答えは17行目以降にあると判断しなければいけない。このように、まず大まかに「答えがどのへんにあるか」アタリをつけていくことが重要。


問3

こういう「リーグ戦の星取り表」のような図式に穴埋めをしていく形式は北海道公立高入試がなぜか好きな形式で、道コンでも当然よく出ます。空欄前後を見てヒントつかむだけで簡単に答えが出るケースが多く、難易度は低めですが。

今回も簡単なレベルだと思います。


問4

これも、問2と同様「本文のどのあたりに答えがありそうか」アタリをつけられるかどうかが勝負です。

一つ目の「見たことのない~」が前半の「子どもの味方」であることはすぐにわかるはずです。

二つ目の「普段の生活からかけ離れた~」が32行目の内容であることも大丈夫ですね。

となると、書かなければいけないもう一つの話は、その32行目の内容とは異なる内容で、32行目よりも後に出てくる内容が答えになることが容易に予測されます。


模範解答の内容としては、要するに36行目からの段落を要約すればそれでよいのですが、別解の可能性として34行目の段落、あるいは最終段落の内容を含めて書いた生徒もいるかと思います。

34行目は、要するに36行目の「作者のフィルター」の具体的説明とも言えるので、これはこれで別解として認めるべきだと思います。(採点基準表には載ってないですが)

34~35行目「いらないものを排除し、足りないものをつけ加える」というのは、要するに「作者が自分の主観的フィルターを通して現実を改変した」というのと同義ですから。

「作者のフィルターを通す」のかわりに34~35行目の内容を書いたとしても、これはこれで問題なく点数を与えるべきでしょう。


最終段落の内容を解答に入れるとすれば、「アーティストによって同じものを描いても見え方が異なることを知る」という感じになるでしょう。

まぁこれはアートを「複数」見ないと手に入らない見方ですから、二重傍線部が要求している条件に当てはまるか? と言われると微妙なところです。

字数制限的にも、一般的な中学生が最終段落の内容まで踏まえて60字程度にまとめることはかなり困難かと思います。

若干無理やりですが、最終段落の内容も含めて答案を作るならこんな感じでしょうか。

「作者の主観的フィルターを通した世界を知ることで、対象についての新たな一面や概念を知り、作者による物の見え方の違いも発見できる。」

こんなツメツメの答案が道コンの模範解答になるわけがないですから、常識的に考えて最終段落の内容は答えのポイントに含まれていないと考えてよかったかと思います。


中3 大問5(古文)

(現代語訳)

道コン公式の訳ではなく、村上が自分で訳したものですので、多少表現に違いがあるかと思います。

「自然な日本語」にすることよりも、「できるだけ直訳的に置き換えていく」ことを重視して訳していますので、自分が読み取った訳と比較しながら読むとわりと勉強になるんじゃないかな、と思います。


そうして行くと、道の真ん中に、その色の黒いものがいる。人間よりは小さくて、全く動かない。「どけ」と言っても返事をしない。「きっと、狐かむじなだろう」と思い、矢を放って射たところ、手ごたえがあって当たったと思ったが、矢が跳ね返る音が、金属などを射たようなものだ。しかし、(その色の黒いものは)いっこうに動こうとしない。もう一度射ても最初と同じようである。一本一本射るうちに、十本全部射てしまい、たった一本だけ残っていた。このとき、そのものが動いて、上にかぶっていたものを脇にどけて、(弓をたしなむ人に)飛びかかってきたのを、残りの一本で射止めた。そうして近くで見てみると、狸であって、上にかぶっていたのは鍋であった。恐ろしいたくらみではないか。その(弓をたしなむ人が持っていた)十という数を知っていたのであろうか。また十というのは数のうちでもっとも日常的なものとして、ものごと(を数えるとき)にこの十という数を使う。狸でさえそれを順々に数えて、(弓が尽きる)様子をうかがっていた。ましてや人間など知力が高いものが(たくらみを)考えることが当然なのはなおさらである。(枝を)切って付け足して11本にしていったのは見事なことです。


後半、傍線部2以降がなかなか正確に訳しにくいですね。

中学古文としては比較的難易度高めだと思います。注釈の数も適度だと思います。

「その十の数知りしにや」の主語が「狸」であることを誤解せずに読み取れたかどうか、そこから、問2の答えがウであると解釈できたかどうか、大きく差がつくのはこの2ポイントかと思います。

問3は、「まして人なんどの」以降の解釈なので、本来であれば「まして~をや(=ましてや~なら尚更だ)」構文の意味が取れないと難しいのですが、AさんBさんの会話文を読めばそれだけで大意が分かってしまうので、答えを出すこと自体は難しくないかと思います。


中3 総評

難易度、出題内容ともに適切な良問だと思います。

いつも通りではありますが、やはり「問題文で問われている内容」「出題条件」「空欄の前後内容」を確実におさえ、そこをヒントに解答を決定するという基本を徹底することの重要性がわかってもらえるかと思います。


中2 大問1(漢字)

全体的に標準レベルかと思います。

「唱える」「除く」が若干難しいでしょうか。

「除く」は同音異義語「覗く」もありますが……まぁこっちを書く生徒はさすがに滅多にいないかと思います。


中2 大問2(対話、資料)

さっき中3でも書きましたが、もう一度全く同じことをほぼコピペします。

対話・資料系の問題では、毎回必ずリード文を読んで「前提条件」の確認をしましょう。

今回でいえば、


・福祉施設へボランティアへ行く

・そのための事前打ち合わせを職員と行う

この2点ですね。


次に、対話文そのものや、資料そのものを読むよりも、まず「問題文で何が問われているか」を先にチェックしてしまったほうがまず間違いなく効果的です。

今回の問題は大したことないですが、場合によっては特に解答を出すのに必要ないダミー情報がいっぱい混じってたり、どうでもいい会話が比較的長く続いたりすることもありますので。

あくまでも「問題に対して適切に答えること」が国語でわれわれに課せられたミッションなのですから、軸足は常に問題文に置くようにしなければうまく点を取ることはできません。


問1

問題文「時間についてまとめてすっきりさせろ」という指示をベースに「プリント」の情報と照らし合わせれば、「開始時刻」と「終了時刻」がバラバラに書かれていることにすぐ気づけます。問題文の指示がすべて。


問3

「プリントに抜けている内容」なのですから、逆に「今のプリントに書いてあること」を先にチェックしておいたほうがいいですよね。

プリントには「日時、服装、持ち物、間に合うように行く」という4点が書いてあるわけですから、それ以外の情報を「打ち合わせ」から探していけばOK。

「間に合うように行く」って、当たり前すぎてわざわざ「注意事項」に書くことか? という気はしますが……


問2、問4は特にコメントすべきことはありません。

解答解説を読んでもらえればそれで大丈夫だと思います。


中2 大問3(小説)

まはら三桃「たまごを持つように」という、超ド定番文章の出題。

当塾テキストにも採用されているので、うちに通っている国語クラス生は「やったことある」となった生徒も多かったことでしょう。

的中するなら道コンじゃなくて入試本番で的中してほしいのですが。


問1

文法の中でも再頻出の「品詞」ですが、品詞の見分け方を知らなくても「そして=接続詞」というのはだいたいわかりますよね。英語でいう”and“なわけですから。

だから、今回の問題が当たったからと言って安心はできません。


・その他、ア~ウの選択肢が「副詞」であることを見抜けますか?

・ア~ウを「副詞」だといえる根拠を説明できますか?

(「動詞を修飾しているから」だけでは不足です)


以上2点ができていないのであれば実力としては不足ですので、勉強し直す必要があると認識してください。


(読み取るべき心情の流れ、内容)

リード文

・実良 調子を崩している

・先生 実良をレギュラーから外して早弥を入れる


本文

・早弥 自分には荷が重い

=自分をレギュラーから外して、やはり実良にしてほしい


・先生 焦って直そうとすると悪化する可能性

=自然と直るまで時間と練習が必要


・実良 理解できない、たまりかねて出ていく


・早弥 自分が出ていきたい、自分では実力不足


・春 実良の荷物を届けに行くのを誘う

→早弥 実良に不快に思われそうで、ためらう

→先輩 早弥の気持ちを察して自分が行くよう提案

→早弥 自分が行くしかない、試合へのプレッシャー


問2

これも質問文の意図を理解することが重要。早弥の気持ちを単純に聞いているのではなく、「先生に何と言ってほしかったのか」と具体的な指定が入っていることを理解したうえで回答を考えなくてはならない。

要するに「おまえはレギュラーやらなくていい」と言ってほしかったことを、「自分では荷が重すぎる」という3行目の内容から導けばいいわけです。


問4

答えのポイントは、

1 ヘタクソ=早弥にレギュラーを奪われて、実良が腹を立てている

2 そんな早弥に会うのがこわい、ためらわれる

以上2点をまとめればよいのですが、ここで一点注意。


あくまでも1は「早弥が推測した実良の心情」を述べているだけなんです。

本当に実良が腹を立てているのかどうか、実良に聞いてみなければわからないですよね。

意外と気にしてないかもしれないじゃないですか。

だから、こういうときに「実良が自分のことをおもしろくないと思っているので」のように、断定的に書いてしまうことは減点の対象になりえます。

あくまでも「推測」でしかないのですがから「実良が自分のことをおもしろくないと思っているはずなので」のように、これが「早弥の推測」であることがわかる表現にしてほしいです。

このように「断定していいところ」と、「あくまで推測であるところ」を区別することは国語において(数学でも)非常に大切なものの見方になります。


問3、問5は特にコメントありません。


中2 大問4(説明文)

なかなか面白いですね、文章。

どうしてもこういう言語学寄りの文章は個人的に好きなので、高く評価してしまいがちになります。


現代文、特に説明文(評論)というのは、結局のところ

・具体と抽象の往還

・因果関係

この2点を把握できる人が強く、できない人が弱いゲームです。


1~2行目「辞書、文法だけでは思うように解釈できない表現」

これは「抽象」です。具体的にどんな表現か理解不能な表現なので。

「抽象」からスタートした文章は、すぐに「具体」への変換させる必要があります。


そこで2行目以降、今回は「具体例」が3連発で登場します。

「雨が降らない」「嘘つけ」「親父と同じじゃないけれど」

このように「具体例」が複数出てきた場合は、それらの間にある「共通性」を探すことが重要。

つまり8行目「文字通りに理解しては意味が逆になる」「まわりくどい表現」これが、1~2行目の「思うように解釈できない」の意味である、ということが分かります。


すると、次は「なぜそんな意味が逆になる、まわりくどい表現をするのか?」となりますね。

これが「因果関係」です。

すると14行目「そういう言い方をしたくなる、話者の心理があるから」が理由であると発見できます。

これが問1の答えになるわけです。


問2も「文字通りに理解しては意味が逆になる」という8行目の主張を理解しているかどうかですね。「文字通りと逆」なのだから「嘘つけ」は「嘘つくな、嘘をついたな」になるのは当然のこと。


現代文というのは、このように構造を理解することで、客観的に筆者の主張を分析して解くものです。


問3は「書き抜き」という条件さえ見落とさなければ答えは簡単に出せると思いますが、2段落はわりと読みにくく、趣旨がとらえられなかった生徒は多いかと思います。

2段落をうまく読むためのコツは、23~24行目の「だいたい」を見落とさず、その働きを理解することです。

「そもそも」というのは「元来」という意味ですから、その前で話しているよりも「もっと根本的な話」をするときに使っているということ。

だから、その前に書かれている「主語が誰なのか」という話と、その後ろに書かれている「時間という言葉の意味」の話をいったん切り分けて読む必要があるんですね。

だから17~23行目をひとかたまり、24~29行目をもうひとかたまりとして読みなおしてみてください。すると、30行目以降に書いてあることの意味がもっと深く理解できるはずです。


中2 大問5(古文)

ド定番中のド定番文章ですので、すでに読んだことあるという人も多かったでしょう。

拙著「古文単語速読マスター500」にももちろん収録しております。


(現代語訳)

道コン公式の訳ではなく、村上が自分で訳したものですので、多少表現に違いがあるかと思います。

「自然な日本語」にすることよりも、「できるだけ直訳的に置き換えていく」ことを重視して訳していますので、自分が読み取った訳と比較しながら読むとわりと勉強になるんじゃないかな、と思います。


ある人が、弓を射ることを習うのに、二本の矢を手にはさんで持って的に向かう。師匠が言うことには、「初心者は、二本の矢を持ってはいけない。二本目の矢をあてにして、一本目の矢をいい加減にする心が生まれる。毎回、ただ、成功するかな、失敗したらどうしようと考えず、この一本の矢で決めようと思いなさい。」と言う。わずか二本の矢を、師匠の前で射るとき、その一本をおろそかにしようと思うだろうか(いや、思わない)。しかし怠け心は、自分では認識していなくても、師匠は気づいている。この戒めは、あらゆることに通じるだろう。


問2ができない生徒はかなり出遅れてますので、早急に当塾「中学国語基礎Lesson読解編」の受講を強くおすすめします。


中2 総評

大問3の小説、大問5の古文、いずれもものすごく各種試験に出まくっている超定番テキストなので、ちょっと題材選びが安易だな……という気はします。過去にいろんな問題解いて訓練してきている生徒は、下手すると「両方やったことある」となっても全然おかしくないレベルなので。

毎回題材選ぶの大変なのはとてもよくわかるのですが。


あと、難易度的に中1~中3の中で突出して中2だけ簡単かな、と。

学年の差を取っ払って、純粋に国語の問題として中1のほうが難しいと思います。

文章の題材のベタさもそうですけど、大問2なんかも中1のほうが資料も内容も複雑で、明らかに満点取りにくいものになっていますし。

中1と中2、逆にしたほうがむしろ難易度的に適切じゃないかと。

(中1生の問題として出題されていたとしても簡単なほうだと思いますが)


中1 大問1(漢字)

(2)「へる」がやや難しかったかと思います。これ、高校生に古文を教えていても、「経て」を「へて」と読めない生徒結構いるんですよね。

逆に言えば、高校生になって古文でも必要になる漢字ですので、読めるようにしておきましょう。

「へない、へて、へる、へる時、へれば、へろ」と活用しますので下一段です。

あとは標準的なレベルかと思います。


中1 大問2(資料、対話)

問1~2

空欄問題はまず空欄前後の条件チェックをするところから。

問1は、直前の「ここ三年間で~」と内容から、資料(B)を見ればいいのはすぐわかりますね。

問2も、前の「練習内容はスピーチしなくてOK」という内容がわかればよいわけです。


問3

こういう資料問題の記述問題は、とにかく「質問内容」「条件」を外さずにチェックすることが必須です。

どんなに資料を読み込んでも「質問内容」「条件」を見落とした段階で思いっきり点数が下がっていくものです。

今回の場合は「3つの文」という条件があるので、その時点で「書くべき内容も3つある」ことがわかります。こういうときに「同じことを2回、3回繰り返して書く」のがダメです。同じことを繰り返して書いても点数は増えません。

で、1文目が「平日は~」で書き始めるということは、ここに「平日の練習スケジュールを書けばよい」ことはわかりますよね。

そして、3文目にも「バスケ部のよいところ=空欄①の直後の内容」を書けばいいこともわかります。

つまり、「2文目に何を書くか」だけが、問題文に条件指定されておらず、自分で導かなくてはならないということになります。

1文目で「平日は~」と言っているわけですから、2文目に「土日」の予定を書かなくてはならないことは推測可能でしょう。


問4~5は特にコメントすることないです。

解説のとおりでよいと思います。


中1 大問3(小説)

ひとことで小説と言ってもいろいろなパターンがありますが、今回は「読み進むにつれて謎が解き明かされていく」タイプの小説と言えます。

冒頭では「少女が何者なのか?」「なぜ花にこだわりを持っているのか」がまるで不明な状態ですが、読み進むにつれそれらの謎が具体的に説明されていきます。

となると、読み方としては評論、説明文とさほど変わらないことになります。

「今、何がわかっていないのか?」を理解して、その「わかっていない情報」を探し、埋めていくように読み進めていけばよい。

抽象的な内容を、徐々に具体的に明らかにさせていけばよいわけです。


(ちなみに、他に入試小説でよく出るものとしては「心理的葛藤/主人公の思索タイプ」と「心情変化/人物の成長タイプ」があります。「心理的葛藤」を描いたのが中3、「成長と変化」を主に描いたのが中2ですね。)


問1

小説も、結局は同じ「国語」ですので、「本文に書かれてある内容」から答えを作っていく点では他のジャンルと全く同一です。

「心情」だからと言って、自分で勝手に類推・創作してよいものではありません。

今回でいえば、


(状況)

少女が花を見ている→絹子にその姿を見られる


(心情)

3行目「慌てたように」

4行目「みーちゃんが落としたんじゃないの」

6行目「信じてもらえるだろうかというように不安げに」


これら4か所を文中から抑えられていれば、模範解答のような解答が無理なく作れることに気づくはずです。

さらに、その後に絹子の心情として「彼女はそれを誰かがもぎ取ったせいだと思ったのだろう」と書かれてあるので、つまり「みーちゃんがもぎ取ったと、絹子に疑われている」とみーちゃんが思っていることも判断できます。


ただ、ひとつ今回の模範解答に細かいケチをつけるとすると……

これ、問6でも同じことが言えるのですが、みーちゃんの目線に立つと、みーちゃんは目の前にいる女が「絹子」という名前だとは知らないはずですよね。

だったら、みーちゃんが不安に思っていることを記載するときに「絹子」という固有名詞を解答に入れるのは本当はNGだと思います。知らないものを答えられるわけがないので。

本来であれば

「自分が椿の花をもぎ取ったわけではないと、家人に信じてもらえるかどうか不安に思っている」

という書き方であるべきだろうと思います。

細かいようですけど、結構大事なことなんですよ。これ。


問2

アとエは、いわゆる「フライング選択肢」です。

少女が花を欲しがっていることは、傍線部2の時点ではまだわかっていない。事実として正しくても、あくまで小説は「人物の立場」で答えるのが鉄則ですので、その人物が知らない、わかっていないことは正解にならないのですね。

(だから、問1のような細かいところも気にしてほしいわけです)


問3

大学入試ではたまに見かけますが、文章の最後まで答えが全然わからない問題は高校受験ではわりとレアですね。

で、結局ヒロくんって誰なのか全然わからないまま終わるという……


問4と問5は特に語ることはないかと思います。


中1 大問4(説明文)

問1 なんで「文節数」で答えさせるんでしょうね?

ふつうにスラッシュ入れさせたらいいと思うんですけど。

今回の問題は、文節に区切る問題で間違えやすいポイントが2つ入っています。

ひとつ「形式名詞」の「こと」です。

一般的に流通している「ネ」を入れて読む方法だと、形式名詞の直前には「ネ」とは通常入らないんですよ。「思索にネ、ふけるネ、ことがネ」とはならないですよね。

でも、ここは文節に区切らないといけないんです。なぜなら名詞は自立語だから。


(「なぜなら名詞は自立語だから」と言われて意味がわからない中学生には、FiveSchools「中学国語基礎Lesson文法編」の受講を強くおすすめします)


もうひとつは、最後の「できない」の「ない」です。

「ない」というのはそもそも「形容詞」と「助動詞」の2種類があり、「形容詞」の場合であれば文節に区切ります。なぜなら形容詞は自立語だから。逆にそれが「助動詞」であれば文節に区切ってはいけません。なぜなら助動詞は付属語だから。

で、今回の「できない」の「ない」は助動詞なので、これは文節に区切ってはいけないのですね。


つまり「思索に/ふける/ことが/できない」で答えは4文節となります。

しかし、今言ったポイントを両方とも間違えて、「思索に/ふけることが/でき/ない」と区切ってしまった場合でも、これも4文節となってしまうので偶然当たってしまうことが十分にありえるわけです。

だから、なんで数で答えさせるの?? という冒頭の疑問が生まれてくるということです。偶然当たってしまうのは、読解問題における選択問題でもそりゃ起こってしまいますけど、容易に防ぐ方法がある場合は防いだらいいんじゃないか、と思うのですが。


問2

これも「問題文の条件」をしっかりおさえることです。

あくまでも、今回求められているのは「例」ですので、一般的・抽象的な説明ではなく、具体例が書かれている箇所でなければ答えにはならない、ということ。

一般論・抽象論でいうなら、2~3行目「自分自身に対する洞察」、10行目「自分の心の声」が「気づき」の説明に該当しますが、これだとまったく「具体例」ではないですよね。

「自分自身の何に気づくのか?」「自分の心の声は何と言っているのか?」が具体的にわかるところを探していく必要がある、ということです。


ちなみに、傍線部直後の2段落以降は「さみしさ、絆」の説明ですので、そもそも傍線部「気づき」と内容的に合いません。

こういう、傍線部直前直後をただ適当に書き抜いてくる生徒を一気にふるい落とす問題はとても良いですね。どんどんこういう問題を出してもらいたいところです。


問3

①は「~状態」というつながりだけで解けてしまうと思いますが、②の前に、すで「外的刺激の遮断」については書かれてしまっているのがポイントですね。

すでに「外的刺激への遮断」が書かれてしまっている以上、同じ内容が②の答えになるわけがない。間違えた生徒の多くは「接続を極力切断する」と書いたのではないでしょうか。


問4と問5

空欄の前後の条件をおさえてしまえば、答えとしては非常にシンプルで答えやすい問題かと思います。中3生だったら「ちょっと簡単すぎるんじゃない?」と言いたいところですが、まぁ中1ですからね。こういう素直な問題もあって良いかと思います。


中1 総評

全体的に見て、文章、設問の難易度ともにほぼすべて適切な試験になっていると思います。

前回の4月道コンのときも褒めまくりましたが、今回もすごく考えられた良い問題だと思いますよ。ちゃんと復習すると、ちゃんと国語力向上に結び付くと思います。学力テストもぜひ道コンさんを見習ってもらいたいところです。

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