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2021年共通テスト第1日程国語レビュー ③古文

2021年度大学入試共通テスト(第1日程)のレビュー、今日は古文です。


古文と漢文は「レビュー」というよりは、わたしが全体をどんなふうに訳したか、どう問題を解いたかの簡単な記録、メモという感じになります。


現代語訳

出典:「栄花物語」(平安、歴史物語)

訳は基本的に直訳ベースで、意訳せずに訳せるところはできるだけ意訳せずに訳しています。

また、訳の正確性は一切保証しません。この訳を引用、利用したことによる損害には一切責任を負いませんのでご承知おきください。


1段落

大北の方(=死んだ妻の母)も、死んだ妻と縁のあった人々も、また何度も何度も転げ回り(泣き)なさる。

これさえをも悲しく不吉なことだと言わないならば、他に何を悲しく不吉なことだと言えるのだろうか、(いや、これが悲しく不吉じゃないなら、他に悲しく不吉なことなど存在しない)と思えた。そして亡骸を運ぶ車の後ろに、大納言殿(=妻の父)、中納言殿(長家)、他のふさわしい人々が歩みなさる。言葉に言い表せない、言葉で真似をする(=言い表す)ことができない様子だ。大北の方の車や、女房たちの車などが引き続いていく。お供の人々などは数えきれないほど多い。法住寺では、いつも渡ってきなさるときとは似ていない車のご様子に、僧都の君(=妻のおじ)は、目も涙で暗くなり、見申し上げることもできない。そうして車を下ろして、次いで人々が降りた。


2段落

さて、この物忌があるうちは、誰もがそこ(=法住寺)にいらっしゃらなければならなかった。(長家が)山の方を遠くまで眺めなさるにつけても、わざとらしくなく自然ととりどりに少し色づいている。鹿の鳴く音に目も覚めなさって、今少し心細さが増しなさる。宮たち(=長家の姉、枇杷殿など)からも、思いが慰められるはずの手紙がたびたびあるが、ただ今は夢を見ているようにしか感じられずに時を過ごしなさる。月がとても明るいのにも、思い残しなさることがない(「明るい月を見ても、月に対して思いが移らない」=心が晴れないという意味? あるいは「悲しい思いが残されることはない」=悲しみがいつまでも心に残るという意味? まぁ結局は同じことか……。いずれにせよ「思い残すことはない=サッパリした」と解釈してはいけない)

宮中あたりの女房も、色々と手紙を差し上げるけれど、悪くはない程度の(身分の)人には、「今度自分自身で(ちゃんと返事する? 会う?)」とだけ返事なさる。進内侍と申し上げる女房が、申し上げた歌。

「(妻と長家が)約束しただろう千年は、涙の水底に沈み、今頃は枕が(長家の)涙に浮いて見えるほどになっているのでしょうか」

中納言殿(長家)の返歌、

「起きて寝て(「一日中」ということ?)した約束は全く(長家の心の中では)尽きていないので、枕を浮かべるほどの悲しみの涙が出てくるのだなぁ」

また、東宮の若宮の乳母の小弁は、

「悲しみを、一方で思い慰めてください。誰であっても最終的には留まることのできる現世なのでしょうか、いや誰も留まることはできない現世なのですから」

(長家の)返歌、

「心を慰める方法もないぐらい悲しいとは、この現世が無常なものであることも、今まで私は(本当の意味で?)気づいていなかったんだなぁ」


3段落

このようにお思いになっておっしゃっても、

「さて(和歌を詠める程度に、まだ私に)ものを感じる心はあるようだが、ましてや数か月、数年経ったら(妻のことを)忘れてしまうのだろうか」と、われながら辛くお思いになる。何事にも、どうしてこんなに、と思うほどに感じがよかったのに(→妻の生前の話)、容貌だけでなく、心の様子も(感じがよく)、文字を書いたり、絵なども気に入って、先日までは集中して、うつ伏せになって描いていたのに、この夏のときの絵を、枇杷殿に持って参上したところ、とても興味深くその絵を愛しなさって、納めなさったが、よくぞ持って参上したものだなぁ、などと、思いを残すことがなく、すべて(の妻との思い出を)恋しく思い出し申し上げなさる。長年(妻が)書いて集めなさった絵物語など、数年前の火事でみな焼けてしまった後で、去年、今年の間にまた集めなさったものもとても多かったのを、自宅に戻ったならば、取り出して見て心を慰めようと思いなさった。


問題の解答

問1

(ア)直訳すると「まねぶ=真似する」なので、③と選んでしまいそうだが、それだと誰が何の真似をするのか文脈上意味不明。

直前に「いへばおろかにて=言葉に言い尽くせない」があり、このライン上で考えるならば「言葉で、そのときの心を『真似する』」と解釈すれば④のほうが筋道が通る。

これはなかなか難しいと思います。


(イ)これも「めやすし=目安し=見た感じがよい」という直訳だけで反応すると④を選んでしまいそうだが、④には「おはせし=尊敬語」の訳が入っていないことからまず間違いなく除外していいと判断できる。となると「全体的に感じがよい=③」ととらえるしかない。


(ウ)物忌みで寺にこもっている→「里に帰ったら妻の残した絵を見よう」となると①であるのは無理なく導けるはず。「~なば=未然+ば」なので仮定表現。③④だと「已然+ば」でなければ変。


問2

傍線部直前「よろしきほど=悪くない程度の身分の者」という意味をとらえられるかどうか。また、傍線部「~ばかり=~だけ」という表現から、長家が手紙を送ってきてくれた人に対して「塩対応」していることがわかれば①しかない。消去法で解く問題というよりは、積極的に①を選びたい問題かと。


問3

これは後半全体の正誤を問う問題なので、逆に消去法的にアプローチするしかないと思います。①は特にエラーがない。

②は、そもそも全体的なストーリーから、こんなポジティブな内容が答えになるわけがない。「思い残す」の意味が現代語とズレているので、「思い残すことがない」の意味を起点にして話を解釈していった生徒は選んでしまいそう。そして、これを「思い残すことがない」と解釈して全体をとらえると、全体のストーリー把握も総崩れしてしまいかねない。今回の古文で大失敗した人は、ここが原因の人も多かったのでは。

③も同様に「死を受け入れたつもり」というのが無理がある。「数か月、数年経ったら妻のことを忘れてしまうのだろうか」と、辛く思っているということは、むしろ妻の死を受け入れたくない、ということ。というか、それ以前に「ままに」に「それでもやはり」という意味は普通ないので……。

④は、一旦すべて焼失してしまったのは確かだけど、その後また絵を集めている以上、絵の焼失に対する悲しみというのはおかしい。だったら、なぜラストに「絵を見て気持ちを慰めよう」となるのか。本文のストーリーと矛盾する選択肢は答えになれない。

⑤「させ」は明らかに尊敬。


問4

これも全体的な正誤問題なので、消去法的にやるしかない。⑤はエラーがない。

①は、冒頭で大北の方が転がって泣いているのでありえない。これは簡単にわかったでしょう。

②は、僧都の君が亡骸を車から降ろした描写はない。

③は、本文は「夢を見ているようにしか感じられず」と言っているので、「夢であってくれればよい」とは意味が違う。

④は、涙を流しているのは「進内侍」ではなく「長家」。「進内侍」が「長家さん、今ごろ涙を流していますよね?」と言っている歌。


問5

① Xの歌をdisり過ぎ。別にXの歌がひどい歌だと否定している表現は本文にないですしね。

② 考え方としては問3③と同じ。Zは「妻の死を受け入れられない」気持ちを詠んだものであって、「悲しみを慰めようとしている」ものではない。

③ 問題なし。

④ これも②と同じで、悲しみは癒えていないので✕。

⑤ 「反発」「他人の干渉をわずらわしく思い」が✕だし、今後「閉じこもって」暮らしていこう、という話にそもそもなっていかない。


今回は以上です。

来週は漢文で、その後は「第2日程」のレビューもやろうと思っていますが、都合により第2日程は現代文よりも先に古文・漢文のレビューを書くことになります。

つまり、今日から4週連続で古文・漢文。

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