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2021年2月道コン国語レビュー

最終更新: 2月6日

今回は2021年1月30日に実施された、第6回道コン国語レビューです。



第6回道コンは、もう恒例となりつつある鷹取先生率いる「学びやむげん」さんとの共催で行われたのですが、今回から「札幌エリート塾」高塚先生のところとも共催になり、なんか徐々にスケールアップしてきた感がありますね。


そして何が面白かったかと言うと、3塾合同で開催すると、どの生徒がどの塾在籍なのか区分けする必要がありますので、いつもは空欄でかまわない解答用紙の「塾名」欄に塾名を書いてもらう必要が出てくるわけです。

当塾から今回受検した生徒さんのうち、当塾FiveSchoolsの名称を正しく書けていたのはたったの1名。しかもこないだの12月から入塾した生徒さんだけで、長くいるはずの人々がなぜか全員間違っているという事態に。


たいへん多い間違いとしては


・「ファイブスクール」「FiveSchool」(複数形sのヌケ)

・「Fiveschools」(SchoolsのSは大文字にします)

・「Five Schools」(スペースは空けません)

・「北大ファイブ」(旧名称)


こんなところでしょうか。

ちなみに片仮名で書くなら「ファイブスクールス」(ズではなくスです。舘ひろしのクールスと同じ)

英語で書くなら「FiveSchools」が正式名称です。


まぁ、あえてわかりにくい名前をつける、ぐらいがわたしの性格に合っていると思うので、いいんです別に間違われても。

FSでもファイブでも呼びやすいように呼んでいただければ。


大問1(標準問題)

問2の「効率」、問4の「東奔西走」はちょっと標準問題としては難しめでしょうか。

後はこれと言ってコメントすることはない、まさしく標準的な問題かと思います。


大問2(語句、漢字、資料読み取り)

おそらく、国語で「大事故」を起こした生徒の多くが大問2、問3「給食」問題でやられたのだろうと思います。まずは問3から見ていきましょう。


問3(1)

発表原稿の内容から、「保護者のアンケート上位3つに共通すること」を答えればよいこと。

また、空欄直前部から「親の負担が減ること(=親自身の利益)」と対比的、対照的な内容を答えにすればいいことがわかります。

これら2条件を把握できたかどうか、がまず第一段階。


保護者アンケートの上位3つを見ると

1位「暖かいものを食べさせることができる」

2位「弁当に比べ献立に変化がある」

3位「栄養のバランスがよい」

これらに共通することといえば、「子どもによい食事をさせてあげたい」ありがたい親心、ということになりますね。

ひとことで言えば「子どもの利益」という内容ですから、空欄直前の「親自身の利益」との対比にもなる。


うーん、これはすごくいい問題だと思いますね。

正直当塾で受検した生徒もあまりできていなかった問題ですけど、これができないのは問題が悪いのではなく実力の問題だと思います。

ただ、問題は次の(2)です。


問3(2)

条件1~3まで用意されていて、条件1「生徒と保護者で内容が共通するもので」「結果の差が最も大きい項目」をまず選ばなければならない。

この問題、というか採点基準の何がひどいかというと、この項目を間違えた時点でそれ以降何を書いても0点になるんですね。

それの何がひどいかというと、これ8点問題なんですよ。

過去何度も批判していますが、こういう「最初のステップを間違えたら0点」などというALL OR NOTHINGの採点基準で、受験生の国語力を適切に測定できるのか?


おそらく多くの0点答案は、ここで「皆が同じものを食べられる」という項目を選んだのだと思います。

これも「生徒と保護者で内容が共通するもの」という条件は満たしているわけですし、最も差が大きい項目ではないものの、ダブルスコア以上の格差があるわけですから決して的外れな内容とも言えない。


さらに言ってしまうと、

「偏食」と「好き嫌い」は同じ意味なのか?

という疑問を持った生徒だっていたことでしょう。


「偏食」は文字どおり「偏りがある」食生活という意味なわけで、その「偏り」が生まれる原因は「好き嫌い」だけとは限らないはずです。

アレルギーで食べられない場合や、肉体改造のためにプロテイン飲みまくってるのも「偏食」といえば「偏食」になるのではないか。だとすると、これは「内容が共通する」とは言えないのでは? 


このように考えた生徒がいたとしたら、それはそれで妥当な発想だと思うのですよ。

(「偏食」はまぁ確かに一般的には「好き嫌い」の意味で使われるもので、アレルギーなどは普通は含まないと思いますけど)


となると、やはり「皆が同じものを食べられる」を選んで、その後その原因まできちんと説明できていれば、少なくとも半分の4点は与えて然るべきでしょう。

そこまで生徒の意を汲み取った採点などできないと言うなら、もっと解釈の余地が分かれないような問題を作るか、学テABCのように最初から大人しく選択問題出しておけばいいと思うんです。


この採点基準がよろしくない理由はまだあります。


条件3を見てください。

条件3では「給食調理員の話」をもとに、条件1の項目に差が生まれた理由を記述しなければならない、という指示が出ています。

「給食調理院」の話を要約すれば


「昔は皆が給食を食べきるまで指導された」

「今は食べたくない、食べられないものは無理に食べなくてもいい」


という内容。

もちろん、これは正解である「好き嫌い、偏食」に対する世代間の意識差を生む原因ですよね。


しかしですよ。

この給食調理員の話って「皆が同じものを食べるべきだ」という意識が下がった理由としても、わりと普通に通用してしまうんですよね。

「昔は皆が給食を食べきるまで指導された」つまり、全員が同じものを食べることが当然視されていた。

「今は自分の食べたくない、食べられないものは無理に食べなくてもいい」つまり、人によって食べるものは違ってもいい。

ね、別にこれでも説明として問題ないじゃないですか。


なのに「皆が同じものを食べられる」を項目として選んだだけで0点にされるというのは、フェアさを欠いた基準と言わざるをえない。

前回1月の道コンだとこのへんはだいぶ改善されていたんですけどね、また以前の雑基準に戻ってしまいました。残念です。


問1

音読み・訓読みは「意味がわかるものが訓読み、意味がわからないものが音読み」という指導がよくなされますが……今回の「本」は、その判別法が通用しない代表的な漢字です。

「本 もと=訓読み ホン=音読み」

と覚えておくのもよいですが、そもそも今わたしが提示したように「2つの読み方を比較してみる」という判別法も使えますよ。

「ほん」という読み方しか考えないから、「ほん=book=意味わかる!=訓読み」という間違いをしてしまうんですね。

最初から「ホン」「もと」と2つの読みを頭に思い浮かべておけば

「もと=元、素、基なども同じ『もと』と読む=これらの漢字の音読みは『ゲン、ス、キ』だから、『もと』という読み方は訓読み!」

このように類推することができますよね。


問2

このタイプの問題は苦手にしている生徒が多いですが、さすがに今回は簡単でしたね。


大問3(小説)

2020年入試でも言いましたが、またしても「中高生が師匠に弟子入りする話」ですね。この類型はなぜか本当によく出る。さすがに去年出てるので次の入試には出ないと思いますが。

内容的には易しめで、裁量選択者は小説で点を落とすとかなり全体のスコアが厳しいものになっただろうと思います。


読みとるべき心情の流れは、以下のとおりです。


木島 

「やる気がないなら帰れ」怒り


わたし 

・慌てる

・「木島を怒らせると、手伝いをさせてもらえなくなる」

=ということは、わたしは自主的に手伝いをしたがっている(なぜ?)

・木島は弟子ができて喜んでいるのでは?

・木島が喜んでいると、自分もうれしい


木島 

「風呂に汚れがあると、お客が気持ちよくない」プロ意識、客のために努力


実 

掃除を自分たちに任せてくれた? 認められた?


わたし

・木島をびっくりさせたい、一生懸命掃除しよう

・大変な努力、木島はすごい、尊敬


木島 

わたし&実のために食事を作る、「口は悪いが優しい」キャラ


わたし

緊張、こぼしたら怒られる→実際にこぼす


木島

こぼした豆を食べて笑う


わたし

緊張がゆるむ、少年みたいでおかしい


以上の内容が読み取れていれば、答えは全部出せるはずです。


問1

品詞の問題としては難しめでしょう。「暖かな」のように「~な」の形になる語は形容詞ではなく形容動詞であることを知っているかどうか。

日本語教育業界では形容詞のことを「イ形容詞」、形容動詞のことを「ナ形容詞」と呼びます。「~な」の形になるか、ならないのかは実は重要な判別ポイントなんです。


問2~4は特にありません。上記の心情が把握できたかどうか、でしょう。


問5

「~いたが、……から。」という形式だけで答えを引き出そうという作問の方法はどうかと思います。今回はただ「笑ってしまった理由」を問うているだけなので、本来「~いたが」の部分は求められていないはずなんです。

この模範解答を引き出したいなら、「わたしの心情の変化に注目して説明せよ」のような問い方にすべきでしょう。


大問4(裁量問題・説明文)

説明文というよりはエッセイに近い文章で、結局何が言いたいのかつかむまでにかなり時間がかかるので、文章は比較的やわらかいわりには読み解きにくいものだったかと思います。


問2

いつもどおり「条件」をおさえることが最優先です。

北海道の高校入試は「本文読解」以上に「設問読解」が重要だ、と過去何回も言っていますが、今回もまさにそれです。


「われわれが求めているもの」

・小さなうれしさ

・悔しさ


「それが欠けると何が困るのか」

・人生が味気なくなる

・生きる意味を見失う


ただ、またしても採点基準に文句を言いますが、なぜ、たた単純に「うれしさ」しか書いてない答案と、「うれしさを求めるがゆえに生まれる悔しさ」の部分までキチンと書いた答案が同じ3点評価なのでしょうか。

ここは明確に差をつけないと、実力差を適切に反映することができません。


問3 

選択肢ウが正解ですが、「無関係」で✕にして、エを選んだ生徒も多いのではないでしょうか。

39行目で「(業績評価で高い評価を得られなくても)あまり問題にはならない」と述べています。「あまり問題にならない」ということは「少しは問題になる」とも言えるわけですから、これを「無関係」とまで言い切ってしまうのはちょっとやりすぎでしょう。

エの内容もたしかに明記されてはいないので、◎にはできないのですが……。


問4

問2と同じで、条件拾いの段階で勝負がついています。


「今日の風潮とは?」

・客観化、情報化できる業績でのみ人を評価


「それによって起こることは?」

(懸念、と問題文にある段階で、確実にマイナスの内容)

・一般人の小さな業績が無視される

・一般人が生きるうえで感じる純粋な喜びが無視される


こんな感じのメモをもとに解答を組み立てればいい、ということです。


大問5(古文)

この問1で「長老を探すため」と答えた生徒はどのぐらいいるのか知りたいところです。

ちょっと深読みをすれば、むしろ「竹の子を探すため」よりも「長老を探すため」と答えたほうが自然と言えるかもしれないな、と思っています。


ある人が、寺へ来て「長老いますか」と言ったら「留守ですよ」と言われた。

「せっかく遠くから来たのに残念」と言って、しばらく休んで、「あっ、そろそろ竹の子が採れる時期だよね」と言って藪の中を見てみると、長老がいて一人で(本来お坊さんが食べてはいけないはずの)鳥を食べる準備をしていた。


というストーリーです。

で、傍線部「藪の中を見てみた」理由は何ですか?

という問題ですが……


もちろん、表面上は「竹の子を探すため」ですよね。

それはそれで別にいいんです。

その答えが間違っている、と言いたいわけではない。


ですが、ちょっと冷静になってこの文章を読んでみると、このタイミングで「ある人」が竹の子探しに藪の中に行くのって、わりと不自然じゃないですか?


遠くから長老を訪ねてきたのに、長老が寺にいなかった。

「仕方ない、じゃあ竹藪に入って竹の子採って帰ろう!」ってなります普通?


これ、最初から「長老はどうせ居留守を使って、何かをこっそり食べてるのだろう」と「ある人」は勘づいていて、竹の子を探すフリで最初から長老を探しに行った、って解釈もさほど無理なく成り立つと思うんですよね。

その後「長老のお見舞いに来た」とも言ってますし。


お見舞いに来たはずの相手が出かけていて留守、というのもそれはそれで若干不自然ですから、この時点で「これは、あの長老のヤロウ、仮病使ってるな」と勘づいたと解釈してもそんなにおかしな話ではないでしょう。


そこまで考えて「長老を探すため」と答えたら、それはそれでひとつの解答だと思うんですけど、どうでしょうか。


全体を通して

大問2をはじめとして採点基準にフェアさが欠けるものも多く、他にも「解釈によっては別解もアリじゃない?」という問題も散見され、平均点こそ1月道コンとほぼ同じであるものの内容面を見るとクオリティ的にはかなり下がってしまったな……という感じです。

難しいから平均点が低くなった、というよりも、採点基準がヘンだから平均点が下がったというほうが適切でしょう。


去年もそうでしたけど、2月道コン国語はクオリティ的にちょっと微妙な回が多いなぁ、と。(去年は「微妙」なんて生やさしいレベルじゃないひどさでしたが)

大問2、問3(1)みたいな問題は好きですけどね。


今回は以上です。

来週はまた「大学入試共通テスト」レビューに戻ります。古文の予定です。

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