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2020年学力テストA国語レビュー
更新日:2021年1月13日
今週は学テA国語のレビューです。
道コンはしばらくずっとレビュー書いていますが、学テについては初めての試みです。
さて、どんな内容になるのでしょうか。
大問1(随筆)
「フェイスカバー」をテーマにした随筆ですが、これは「フェイスカバー→フェイスシールド」を連想させようとしているんでしょうか。
英語でもコロナ(なぜかインフルエンザに話題がスライドさせられていますが)関連の長文が出ていましたし、やはり何か含むところはあるのかもしれませんね。
思ったよりこういう時事ネタをスピーディに取り込んでものなのだなぁ、と。
来年の入試も、いたるところの都道府県でコロナ絡みの問題出るんだろうなぁ。
問1 鷹取先生がツイートしていましたが、2「同い年」の読みを問う問題で異常採点が横行している可能性が大きそうです。
解答用紙には「同(い)年」と記載されているため……
「おな どし」と書くのが正解であって、「おないどし」と書くと✕ですよ、という。
もちろん「バカかオマエ?」以外のコメントはしようがなく、その採点が正当か不当かなど自明すぎて議論する価値もありません。
が、過去の当塾生の事例を見ても学テABCの採点はこのような異常採点が決して珍しくない現状があるようです。すべての学校が、とは言いませんが。
こんなことで学校と争っても何もいいことはありません(内申点に関係するわけでもないし)ので抗議するたけ時間のムダだと思います。放っておきましょう。
問3 今や逆に少なくなってしまったかもしれない、ピュアな空欄補充の接続語問題。
今の入試傾向からすると「?」と思うところもありますが、まぁこういうスタンダードな問題もやはり取り組んでおくにこしたことはないでしょう。
(思いのほか私立大学入試では出ますし)
問5 今回の学テA国語の運命を分けるのは「問題文の指示を読み取れたかどうか」です。
今回の問題文「ここでは例えば何をするような人間ですか」を読んで、「例えば」を見落とした人は試合終了。おそらく0点になっていることでしょう。
「例えば」ということは「具体例を答えよ」という指示なわけですから
◎ パンツやスカートの試着中にフェイスガードをつけるような人間
✕ 何も考えずにルールに頼る人間
ということになるわけです。
学テに限らず道コン、そしておそらく入試も「問題文の指示違反」はかなり厳しく採点される傾向にあります。
ちょっとしたエラーならマイナス1~2点で済んでも、根本的に問題の指示を読めていないと判断された場合は完全に0点になるのが普通だと思って、くれぐれもご注意のほどを。
大問2(資料の読み取り)
特に言うべきことはありませんが、道コン、入試とは異なり「資料の読み取り」問題で記述があまり出ないのが学テのひとつの特徴です。
なんでなんでしょうね。
問3「話をそらさせた犯人」をつるし上げる問題はなかなか面白かったです。
大問3(古文)
「舌切り雀の元ネタ」と言われている文章ですが、特に舌を切られているわけでもないので異説あるそうです。
「庭に雀のしありきける」の「しありく」という動詞に注釈がついていないのが意外でした。「ありく」ならまだわかるのですが、「しありく」という形は高校生でもあまり馴染みのない形でしょうから、「憎み笑ふ」に注つけるぐらいならコッチじゃないの? という気もします。
中3生が読む古文としてはそれなりに読み進めにくい(逐語訳しにくい)ところもあり、難易度的には「まぁまぁ」といったところではないかと思います。
傍線部1「取りてん」は文脈的に判断は可能ですが、ちゃんと文法的に理解するには高校生レベルの勉強が必要ですし。
ただ、全体的に明らかに「知識はいらないよ、文脈の流れで解くんだよ」という思想で作られた問題ですね。
中学生の古文は程度の差はあれどれも「文脈と漢字、注釈だけで解ける」という前提のもとで作問がされてきます(私立高校は例外があります)ので、中途半端に高校レベルの文法を勉強すると「生兵法は怪我の元」となってしまう危険性があります。
あくまで「文脈」重視、という原則は、たとえ高校レベルの文法を学んだ生徒であっても踏まえたうえで問題に取り組んでいくべきだろうと思います。
問4 学テAの「採点基準」は入手できていないのですが(公開しているケースあるんですかね? 見たことないです)、一般的に中学校の採点は「ALL OR NOTHING」の傾向が強くあると思います。
道コンであれば「中間点」をかなり幅広く認めていて、逆に言えば「何か書いてあればある程度点数がもらえる」採点基準になっていることが多い。
それについての批判は前回の道コンレビューで書きましたのでご参照ください。
しかし、逆に学テABCは「何かちょっとでも瑕疵があればすぐ0点」となる傾向を感じます。
完璧でなければ(その「完璧」というのも、先生の主観が色濃く入った客観性に欠けるものが多いのがまた問題)すべて✕、という。
(今回の問4がそうなっている、と言いたいわけではありません。わからないので)
テストというものは、できる者、まぁまぁな者、全然な者でグラデーションがつくように評価すべきなのは当然です。
が、往々にして「マルかバツか、白か黒か、100か0か」という、つまり「採点者にとって一律の基準でラクに仕事をこなせる採点基準であること」を主眼に置いたものが横行してしまう現実があります。そこに「生徒の成長」という観点はありません。
現状の生徒の状況、実力、才能、努力を適切に評価し、次への指針とすることを主目的として採点は為されなければならないと強く思います。
話が逸れました。
(再度言いますが、今回の問4がそのようなクソ採点基準である、と言いたいわけではありません。一般論として受け取っていただければと思います)
大問4(説明文)
大問1が随筆だったわりに、これも若干出だしが随筆に寄った感じの匂いがする説明文ですね。
問2 品詞問題で接続詞が出るのはなかなか珍しいです。
問5① 35字の書き抜きを、全部書かせる意味はどこにあるのでしょうか。生徒の手首を鍛えたいのでしょうか? ていうか、なぜこの問題を「書き抜き」形式で出すのかがそもそも疑問。
あと「35字ちょうど」という問題形式、よく見ますけど問題としてダメですよね。
そんなの、内容わかってなくてもただ字数数えて区切りのいいところ探せば正解出てしまうじゃないですか。
それに、今回の問題だと解答にカギカッコが大量に入りますよね。
こういう場合「記号も一字に含める」という注釈を入れないと混乱を招きます。
いろいろな意味で生徒への配慮の足りない問題です。
また、この問題で満点を取るために、文章の後半、ラストの6~7行を読む必要性がまったくないんですよね。
だったら、なぜこの文章を出したのか?という疑問があります。
こういう「傍線前後を抜き出すだけで国語は答えが出るぞ」という誤解を与える問題は教育的によくないとわたしは思いますね。
うーん、全体を通して大問4はちょっとクオリティ的に……。
入試を意識した勉強をする、という意味では文章も短すぎますしね。