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2020年8月道コン国語Review

今回から、道コン・学テABC・北海道公立入試の「国語」について、試験が行われるたびに毎回レビューを書き記していこうと思います。

先日行われた「夏の道コン」について、中3~中1の3学年分を書きましょう。

中3

今回の中3国語は、かなり塾関係者(※)の中で物議をかもしています。

(※)塾関係者=主に鷹取、八反田、村上を指す(敬称略)

なぜかというと、あまりにも難易度が低すぎるのではないか?というのがひとつ。

もうひとつは、去年夏の道コンでも述べた「採点基準」の問題。

https://www.fiveschools.com/post/190822-docon201908-3

詳しくは以下、各大問ごとにコメントを入れながら語ります。

大問1(漢字・資料の読み取り)

問1 清潔の「潔」がちょっと怪しい人いるかな? というだけで、全面的に簡単です。当塾でそんなに漢字の正答率いつも高くない生徒でも1ミス程度で落ち着いていましたので、平均点もかなり高めに出るだろうと思っています。

問2ー2 前回の道コンでは「雑がみトラップ」で大失点を食らった生徒も多かった「資料の読み取りの記述」ですが、今回は失点した生徒がほぼいないレベルで、多くの生徒が満点に近い点を取っていました。


やりたいことはわかりますし、良い着眼点ではあると思うんです。

いわゆる「チェリー・ピッキング」を生徒に見抜かせるという試みで、これは過去の道コンでも他都道府県の入試でもあまりお目にかかったことがなく、わたしも試験時にこの問題を見て「なるほどー」とは思ったんですね。


ただ、ちょっと見え見えすぎたというか、「野村さん」の発言のツッコミどころがわかりやすすぎたというか……

もう少し「野村さん」の発言をぼかした内容にしておくべきだったのかな、と思います。

意欲作だとは思うのですが、結果的に今回の道コン難易度ダウンに一役買ってしまった結果になったように思います。惜しかったですね。

問3~4 こういう地味だけど、めったに勉強する機会のない単元を拙著「やさしい中学国語」では全部扱っていますので、こういう問題で点を落としがちな人はぜひ取り組んでもらいたいところです。

やさしい中学国語

大問2(小説)

問1~3までは傍線近辺に明確に根拠が示されていますし、内容的にも平易ですし、満点クリアして当然というレベルです。

問4で失点するとすると、

・「台風のときに自分の船を沈めた経験」の「台風のとき」の部分を書いていない

→ただ「船を沈めた」としか書かなかったら、「もらい事故」のような親方に非のない事故の可能性も除外できない答案になってしまいます。あくまでも「悪天候のときに無茶をしてしまった過去」を説明したいわけですから、やはり天候には触れておかねばならない。


・「無茶をしてはいけないということを学んだ」と書いてしまった。

→問題文をよく読んでください。「親方が無茶をしなくなったのは、どのようなことを知ったからですか」と問われていますよね。問題文で「無茶をしなくなったのはなんで?」と聞かれて、答えが「無茶をしてはいけないと学んだから」……答えにならないのはおわかりですよね。このように、傍線内容の理由を問われているのに、傍線部とまったく同じことを繰り返すトートロジー的な答案では点数はもらえないのです。

ただ、問4も特に難しい問題ではなく、少なくとも完全に✕になる生徒はかなり少ないでしょう。(6点中3点になった生徒は結構いると思いますが)

ただ、今回の全体的にヌルい問題の中では比較的失点を招きやすいところであり、差が付くとしたらまずはこの問題だろうと思います。

大問3(説明文)

「落ち着いて読書をするには?」という非常に身近なレベルの内容で、文章がそもそも平易だということ。

また、問題提起が多用された文体なので、「問題提起→その回答」という手順で趣旨をつかんでいけばほぼ最後まで内容が把握できること。

よって、そもそも読解の難易度がかなり低めの本文だったと思います。

正直言って中2の説明文のほうがずっと難しく、中2と中3でそもそも出典を逆にすべきでした。


問1 出題じたいは適切だと思いますが、これは以前からの問題なのでハッキリいいます。採点基準が甘すぎる。


まず、問題と道コンの模範解答、そしてわたしが実際に試験時間中に書いた答案を提示します。

問題「本を読むとき、一番『うるさい』のは自分の体だ、というのはなぜか?」

模範解答「自分の体が気になると、読書に集中できなくなるから。」

村上解答「自らの体への意識が、読書への集中を最も阻害するものだから。」

わたしの解答と、模範解答の差はどこにあるかおわかりでしょうか。

「言い方の違い」を除き、内容的な差は「最も」という語句がわたしの解答には入っていて、模範解答には入っていない。ここにしか相違はありません。

ただ、ここで質問文を今一度見ていただきたいのです。


質問文には「一番」うるさい(=邪魔する、という意味)のは自分の体だ、と書いてありますよね。「一番」とハッキリ書いてある。

読書を妨害する要因は、別に自分の体以外にだっていっぱい存在しているわけです。外の車の音、人の話し声、飛んでいる虫、明日までの宿題、などなど。

それらの阻害要因の中でも「自分の体」がNo.1だ、と傍線部では述べているわけですから、であればわたしが書いた答案のように、「最も」のような最上級的な文言を入れないのは、本来は減点にされて然るべきではないか、と思います。

ただ、まぁ、コレはよしとしましょう。

中学生にそこまで求めるのは酷なのもわかります。

正直、どうせコレは採点基準には入ってないだろうな、と予測もしていました。

でも、最も気に入らないのは次の採点基準。

「自分の体がかゆくなると、読書ができないから」

これで満点がつくと言っているのが今回の採点基準です。

「かゆくなる」という単なる具体例(一般性のない具体例で説明したものが減点対象になるのは本来当然のことです)を、傍線部の近くに書いてあるからと言って何にもアタマを使わずにコピペした人間と、さっきわたしが書いた解答が、まったく同じ満点と評価される試験なんですね。いったいどこで上位層と中下位層の差をつけようというのか。

去年夏の道コンもそうだったのですが、「比喩・具体例/一般論の区別」ぐらいは最低限採点基準に盛り込まないと、どうにもならないですよ。

問2~4は特にコメントするようなことはなく、ごく標準的な問題だと思います。

小説同様、上位層では問4以外ほぼ差がつかない状態になると思われます。

大問4(古文)

前回の4月道コンでは「幽玄」などというなかなか固いテーマの比較的長めの文章が出たのですが、一転して今回のは……。

たった4行、内容もごく平易で、問3の穴埋め問題も、現代語の空欄前後を見るだけでほぼ間違えようがなく答えを絞れてしまう。

案の定、当塾で古文で失点している人はほぼ皆無。

いや、これで大問1~3まで難易度高めなのであれば、バランス調整として古文を簡単にするというのは理解できます。

でも、大問1~3が今まで述べてきたようなアレですので……。

総評

ということで、全体として難易度が高い、考えさせる問題がほぼなく、往々にして上位下位の差を決定づける説明文がきわめて平易、そして古文がこの有様です。

当塾もそうですし鷹取先生、八反田先生のところもほぼ同様らしいのですが、国語で50点を下回った生徒がほぼ皆無という状況です。

もともと平均点そんなに低くはならない国語ですが、ちょっとやりすぎはべりいまそかり感が拭えないですね。

その他の教科について

貶してばっかりだと申し訳ないので良かった問題も言っておくと、理科の大問4は最高でしたね。

フェーン現象の原理を、フェーン現象という言葉を用いずに問題を通して自然と生徒に理解させようという、すばらしく教育的な問題です。

道コンを自分で解いてない塾の先生、これは自分で解いて、授業でも扱ったほうがいいと思いますよ。

しかもこの問4って、問1とも繋がってるんですよね。すばらしい。

テストを作るって、こうやって各小問にリンクを持たせながら、かつそのテストを通じて生徒が新しい何かを得られるように作るべきだと思うんですよ。GoodJobと言わざるをえません。

中2

大問1(漢字)~大問2(資料の読み取り)

平易です。特にコメントすべきことなし。

中3だったらさっきと同様「簡単すぎでは」と言うところですが、まぁ中2だったらこんなもんなのかな、と。

大問3(小説)

問2 これは、なかなか良問だと思います。

なぜか、ただの心情ではなく「心情の変化」を問う問題なので、時間軸で人物の心情をとらえられない生徒は確実に満点を逃します。

読み取りをキッチリできる生徒に◎、そうでない生徒に△~✕がつくようにきちんと計算されている感じがいいですね。

どういうことか。

まず、問1とのリンクで問2を考えないといけないんです。


当初、ぼくは「あんなやつは放っておけばいい」と思っていた。

つまり、雄大の心の傷について「全く気付いていない」状態だったわけです。

それが「沙也」のセリフで、自分がひどいことをしたと「気づかされた」。

つまり、この「気づかされた」という心情が何よりの答えの中核となるべきなんですよ。

で、あとは「何に気づいたのか」「雄大の心の傷とは何なのか」を補足していけばいい。


国語ができない生徒というのは往々にして傍線部からの逆算的な読解しかできないので、いきなり「雄大の心の傷」の内容ばかりを説明して、肝心の「それに気づかされてショックを受けているぼく」という最大のポイントを把握できないものなのですね。

問4 選択問題にしてはやや難易度が高いかもしれません。(やや、ですが)

心情が「頼りない光」「びくついた」のように間接的にしか表現されておらず、「雄大に対する心配」が明確にこの場面では説明されていない。

さすがにアはギャグですが、根拠をつかめなかった生徒が苦し紛れにイ~ウを選ぶケースはありそう。

大問4(説明文)

「話し言葉と書き言葉」という、ありがちではあるけれど中学生にとっては初出かもしれない堅めのテーマに、さらに「表音文字と表意文字」も絡めるというなかなか勉強になるいい文章だと思いますが、本当になぜこっちを中3にしなかったのか……。

中2作問担当と、中3作問担当がまったく別で、打ち合わせも特にしていない、とかそういう感じなのでしょうか。

問1 わからない人は「やさしい中学国(rya

問2 「理由」が聞かれたら、すぐ近くの「~から」を探す!

というゴミのようなテクニックで問題を解いている生徒(≒解かせている指導者)を明確に潰しにきましたね。

直後の「伝える人にとっても伝えられる人にとっても同じ内容として理解される必要があるから」の部分をコピペすると、見事に0点になるように採点基準が設定されています。


(0点は0点でちょっとやりすぎじゃないか、とも思うのですが……

このあたりも「とにかく書けば点がつく」中3とは全く作成姿勢が違うので、どう考えても別人が作ってるとしか思えない)

なんでその部分を書いたらダメなのか?

と問われると話がすごく長くなるので簡単にまとめますが、傍線部で問われているのは「話し言葉と書き言葉の『相違点』」なんですね。

で、今述べた「伝える人にとっても伝えられる人にとっても同じ内容として理解される必要があるから」の部分、これって話し言葉でも書き言葉でも、どっちでも必要なことじゃないですか。

だから「相違点」を求められる質問の答えとしては不適切だ、ということ。

違いを聞かれているんだから、違うところを答えないといけない、というごく当たり前の話なのです。

問3 内容としては難しくないのですが、そもそも生徒に聞いてみると「表音文字」「表意文字」とは何なのかがわかってない人、結構いるんですよね。

でも今回の文章だと表音文字と表意文字の違いが前提として書かれているので、そこから理解できていない生徒だとちょっと辛かったのかもしれません。

でも、「表音」「表意」って漢字の意味からして(まさにこれが「表意文字」たる所以です)わかりそうなものだと大人は思ってしまうんですけどね。

「漢字にはそれだけで意味を持つから、そこから熟語の意味を類推する習慣をつけよう」ということ自体を指導していかないといけないのが現実なのです。

問5 スタンダードな良問ですが、そもそも文章内容をここまで追い切れていない生徒が多いでしょう。

大問5(古文)

これも難易度、内容的にも妥当な出題だと思います。

問3で「書き抜き」であることをチェックせずに「最初の仏」と答えるケースが続出。

古文で「書き抜き」なのか「自分の言葉でOK」なのかは必ずチェックする習慣を。


総評

いい問題ですね。中2にしてはちょっと難しいかな、というぐらいですが、中3とのコントラストで妙に難しいように見えてしまいますが。

いや、こっちがあるべき姿で、中3がおかしいと思わないとだめです。


中1

大問1(漢字)

……中2、中3よりもしかすると難しくないですか。

「棒」とか「署」とか、結構ミスりやすそうな気が。

大問2(資料の読み取り)

問4 やりたいことは、基本的に中3と同じですね。

「そんなわけあるか!」というツッコミを発言者に対して入れさせる問題。

ただ、中3はそのツッコミ内容を自分で考えなければならないけど、中1は本文で「Bさん」が言ってくれているという差。

……中1と中3は同じ人が作ったのかな。

大問3(小説)

非常に平易な問題です。「本文に示された心情をもとに答える」という基本さえできていれば、間違えどころがない。

まぁ中1の最初の道コンですからね。これでいいような気もします。

大問4(説明文)

比喩を前面に押し出して説明を進めるタイプの文章で、その比喩をストレートに問うのが問1。これは中学生の問題ではなかなか見ないタイプの問題でわりと新鮮でした。

(わたしが自分で作る問題ではよくやりますが)

問3 「指示語=ただ直前の言葉を抜き出す」のではないのだぞ、ということを勉強するいい問題です。

指示語というのは、何よりもまず「指示語を含んだ文」の理解が重要なんですね。今回でいうと「それをしないと危ない」と書いているわけですから、この「危ない」の部分にこそ最大のポイントがあります。

つまり、前から「危ない内容」を抜き出さないとそれは答えにならないわけで、「何が危ないの?それ」と言われてしまう答案を書いてはいけない、ということです。

総評

説明文は中1にしては難易度高めだと思います。とはいえ大問2~3がともに平易なので、平均的には決して難しいと言えるレベルではなく、わたしの体感では「やや易」ぐらいです。

(ちなみに中3は「(超)易」、中2は「やや難~標準」というところ)

以上です。

次回はおそらく一ヵ月後、9/16(水)のブログで「学力テストA」の国語レビューをやろうと思います。よろしければまたお付き合いください。

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