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入試出題範囲カットで何が起こるのか?

ご承知のとおり、先日2021年度の北海道公立高校入試に関して


「出題範囲カット」


の発表がありました。


ふだんはあまりこういうニュースに反応してブログを書いたりはしないのですが、今回ばかりは相当程度に影響の大きい変更ですし、今後の見通しについて不安を抱いている方も多いと予想されます。

あくまでも私見ではありますが、この変更によって何が生じると予想されるのか、そしてどのように対策を取っていくのがよいのか、ひとつの考えをわたしなりに示そうかと思います。

まずは来年の入試の基本情報から

http://www.dokyoi.pref.hokkaido.lg.jp/hk/kki/R02gakuryokukensabi.htm

推薦入学面接日  

令和3年(2021年)2月10日(水) 

学力検査日  

令和3年(2021年)3月3日(水) 

追検査日  

令和3年(2021年)3月9日(火) 

合格発表日  

令和3年(2021年)3月16日(火)  

令和3年度公立高校入試の学力検査において、出題範囲から除外する学習内容


国語

中学3年生の教科書で学習する漢字

数学

中学3年生で学習する内容のうち、次の内容

・相似な図形

・円周角の定理

・三平方の定理

・標本調査

社会

公民的分野のうち、次の内容

・私たちと経済

・私たちと国際社会の諸課題

理科

各分野のうち、次の内容

【第1分野】

・『運動とエネルギー』の「力学的エネルギー」

・科学技術と人間

【第2分野】

・地球と宇宙

・自然と人間

英語

関係代名詞のうち、主格のthat、which、who及び目的格のthat、whichの制限的用法

※同様の働きをもつ接触節(SVによる後置修飾)も出題しない。

私見

まず、この出題範囲カットの良し悪し、東京など他の都道府県との比較については今日の主旨ではないので言及しません。

おそらくこの記事を読んでいる方も、聞きたいのは「北海道へのクレーム」ではなく「実際の入試が具体的にどうなりそうか」という予測、また、それを踏まえた対処法であろうと思いますので、その2点に絞って話をします。

加えて、当塾FiveSchoolsがどのような方針で今年の中3指導にあたっていくか、その方針も現時点で言える範囲でコメントしていきます。

国語

中3の漢字のみカット。

わざわざ「どの漢字がどの学年か」を意識して勉強する人などほとんどいないでしょうから、影響はかなり限定的と言ってよいでしょう。

(中2以前の漢字に何があったかこの際確認してみるのはいい勉強になるかもしれません


もし「中3の漢字は出ないから、中3の漢字は覚えなくてよい」と思っている人がいたら困るので言っておくと、漢字というのは漢字テストで点を取るために勉強するものではありません。

漢字は「意味」を表す文字ですので、わからない漢字が多いということは意味が理解できない言葉が増えることを意味します。

執拗に書き取り練習をする必要はないかもしれませんが、少なくとも「読めて、意味がわかる」レベルの勉強は必須です。


その他、受験勉強の方針は特に変える必要はなく、従来どおりに本来やるべきことを粛々と進めればよいと思います。

数学

相似以降の内容が基本全カットということは、つまり幾何、図形の分野が中2までの範囲からしか出題できない、ということになります。


ただし「標本調査」はそもそもほとんど入試で出題されることもなく、扱いも正直もともと「オマケ」的なものでしかないので、ほぼ受験勉強に対する影響はないでしょう。

(もちろん、中央値/最頻値など中1「資料の整理」は出題可能性があります。これはむしろ頻出ジャンルですので当然勉強が必要です)

しかし、これがイコール「数学が簡単になる」「平均点が上がる」ことを意味するのか?

その答えはNOだと思います。

(もちろん、単に年度ごとの難易度上下はありますから、結果的に去年よりも簡単になる可能性はあります。範囲カットが即座に難易度ダウンにつながるとは限らない、という話です)

相似が使えないにしても、合同だけを使って難易度の高い証明問題を作ることは可能です。また、今回カットされる三平方と、たとえば中1空間図形を比較すると、むしろ空間図形のほうが取り組みにくく、正答率の低い問題の出題比率は大きいかもしれません。

(ちゃんとデータとったわけではありませんが)

過去の道コンを見ても、中1~2の範囲であっても、いま述べた空間図形のほかにも直角三角形、外角を使わなければ解きにくい証明など、明らかに多くの中学生が苦手としている分野があります。その穴をついた問題が入試で出された場合

「ふつうに三平方(相似)使って出題してくれたほうが簡単だった」

という可能性は十分にあります。

受験勉強の方法として、実際の入試過去問がなかなか使いにくくなりますので、本番の過去問をそのまま使用するよりは、ジャンル別に再編集された問題集、過去問集を使ったほうが取り組みやすいだろうと思います。道コンセレクションとか。

https://www.do-con.com/book/selection.html

道コンの話でいうと例年の9月道コン(≒学テA~Bあたりまで)の範囲が入試の範囲となる感じです。つまり、普通だったら中3夏期講習で勉強する範囲を、入試までずっとやっていくイメージ、といえば指導者には伝わりやすいでしょうか。

ただし、学校の定期テスト、つまり2学期末・学年末では相似以降も出題されるはずです。(学校によって対応違うのかもしれませんが)

また、三平方は「使わなくても解けるけど、三平方を知ってると楽に解ける、あるいは別の導き方ができる」というケースが結構あります。

その2点を考えたうえで、どこまで相似、三平方の勉強に力を入れるべきなのか、バランスを見て、個々の状況に応じて決定していくことになるでしょう。

「高校以降のことを考えると、すべて例年通りに勉強しておくべきだ」

というのは確かに正論ではあるのですが、現実的に受験で「勝ちに行く」ことを考えると、指導者サイドとしては個々の生徒ごとにバランス調整を考えていかざるをえません。


当塾の場合、生徒個々の状況に応じてもう三平方まで全部終わってしまった人もいれば、学校のペースどおりに勉強している人もいます。

一律に機械的な対応をそのような状況の中でとることはそもそも不可能ですので、正直に対応は「人による」としか言えないのです。

社会

公民の、経済以降がカットということになります。

ちなみに、道コンでいえば例年の10月道コンまでの範囲が入試の範囲になるというイメージです。

そしてまったく影響がないわけではもちろんありませんが、正直数学に比べると影響は軽いと思われます。

なぜか。


公民・経済はそもそも勉強量的に負担が大きくないジャンルです。

出題頻度で言っても公民はやはり政治、憲法系の出題のほうが圧倒的に高いですし、覚える量も多い。

それにそもそも公民よりも地理&歴史のほうが勉強量的にも、難易度的にもウェイトが大きくなりがちです。

(難易度の感じ方は個人差あるでしょうが)


よって、このカットによって勉強の負担は多少軽減されるかもしれませんが、まぁ多少だろうと思います。

受験勉強として取るべき方針は、数学と同じく定期テストを視野に入れ、受験勉強全体にどの程度余裕があるのかを合わせて判断していく他にないかと思います。

ただ……高校入学後のことを考えると、わりと高1で政治経済勉強する高校多いはずなんですよね。

それを考えると、範囲外だからと言ってオール・スルーしてしまうのはどうなんだろう……という気持ちはあります。

(高校サイドがそれを見越して事前課題など何らかの対策を打ってくるのかもしれませんが、あまりそれを期待するのも……)


理科

宇宙全カットはかなり豪快な変更で、相当苦手な生徒が多い分野でもありますので、受験勉強全体に与えるインパクトも数学に並んで大きいだろうと思います。

(理科の中でも「基礎を理解するだけでも結構大変」なジャンルですので)


その分、中1の地震、地層、火山分野、特に計算が求められるという意味では地震分野への対策の重要性が俄然高まったのかな、と思います。

ただ、中1の以上3ジャンルに加えて、あとは中2天気だけです。

良し悪しはともかく、特に地学分野はかなり対策が立てやすくなったことは事実です。

(力学的エネルギーは、これ「仕事」もカットなんですかね? 「仕事」もカットされるということだとそれなりにインパクト大きいと思いますが、そうでないなら物理分野への影響は軽微でしょう)

あ、ちなみに例年の道コンでいうと社会と同じく10月道コンまでの範囲が入試の範囲になったようなイメージでお考えください。

英語

関係代名詞が出ない、ということが何を意味するのか。

文法問題に関するインパクトは、実はほとんどないと思います。関係代名詞をただ文法的に理解して文法問題に正解できるようにするだけなら、上位高校受験生であれば2日もあれば可能でしょう。

また、道コンでいえばこれは「第5回」つまり1月、冬の道コンの出題範囲とイコールということになります。

他教科に比べると圧倒的にカットされる分量が少ない。

むしろ問題は長文読解のほうで、関係代名詞が使えないということは長文内容の複雑化がかなり図りにくくなる。

ということは、関係代名詞が使えなくかわりに「複雑で長い文」を作れる文法に対するウェイトが間違いなく高まると思っています。

具体的にいうと、まずは「名詞に対する後置修飾」を別の文法で補う必要があります。

すると「前置詞、不定詞(形容詞的用法)、分詞の形容詞的用法」

の3つに間違いなくフォーカスがあたることになるでしょう。

この中だと「不定詞(形容詞的用法)」は使える場面がかなり限定されていて広く使うことはなかなか難しいので、特に「前置詞」と「分詞」。この2つだと思います。

これらの理解が甘い状態で入試に突入するのはかなり危険だと思いますので、特に「前置詞を使った名詞への後置修飾」に今のうちに慣れておく、重点的に指導しておく必要性を感じています。

また、重文・複文を駆使して、関係代名詞のかわりとなるような長文内容を組み立ててくる可能性も高いはずです。となると「接続詞、不定詞(特に副詞的用法)」の比重が高まるだろうと思います。

不定詞はもともと中2文法最大のヤマ場として認知されていますので、いずれにせよ勉強には力を入れるべき単元です。不定詞を復習しない上位高校受験生などそもそもほとんどいないでしょう。

その意味でいうと、盲点となりがちなな「接続詞」への理解度が、今年の入試の明暗を分ける可能性が高いのではないかな、とわたしは予測しています。


総論

影響が大きそうな順位でいうと


①理科、数学(受験勉強全体へのインパクト大)

②英語(既存文法の重要性UP)

③社会(多少負担が軽くなる、というレベル)

④国語(ほぼ影響なし)


という感じでしょう。

そして全体的には

「学テBあたりの範囲が、そのまま入試の範囲になる」

というイメージになります。

ただし「範囲が短くなる=簡単になる」とは一概に言いきれず、短くなった分


・内容が深くなる

・難易度を調整するため、苦手な生徒の多いジャンルが出題される


などのケースも考えられます。

要するに「カットされた分のしわよせ」が他の単元に回ることになるので、その対策は必須となるだろうと考えています。

いずれにせよ、範囲変更の概要と、起こりうる影響を予想したうえで、受験勉強(学年末対策も含め)をデザインしておく必要があると思います。


ただ、生徒さんの状況によっても取るべき対策、戦略が変わってきます。


・学年末で点を取らねばならない(ランクが厳しい)

→カットされたジャンルも早い段階からしっかり取り組む必要あり

・1~2年の復習が全然追い付いていない

→カットされたジャンルは後回しにしてでも、早期に1年からの復習に取り組む必要あり

・比較的余裕のある状況

→高校進学後も見据え、例年どおりに勉強する


ザックリではありますが、おおむねこのような感じに大別されるでしょう。

例年以上に「現状分析」が重要な戦いになると思います。


私立高校について

そしてもうひとつ重要なファクターとなるのが

「私立高校」

です。


いくら公立高校の範囲が短くなっても、私立高校がそれに合わせなければ結局受験生は全範囲の受験勉強をせざるをえない状況となります。

しかも私立高入試は2月、公立高入試は3月ですから、私立が公立に合わせず従来どおりの範囲で入試を行うならば、

「2月までは相似、三平方、宇宙、関係代名詞、経済を勉強しなければならない」

「その後なぜか相似、三平方、宇宙、関係代名詞、経済を勉強しなくてよくなる」

という意味のよくわからない逆転現象が起こることになります。


一部「公立高に合わせるらしい」私立高校の名前がうわさに上がってきてはいますが、全部の私立高校が画一的に公立高に合わせるのかどうかは定かではない状況です。

ここは情報が出るまで、どうにもわからないですね......

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