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  • 執筆者の写真FiveSchools

2019年10月道コン国語レビュー

更新日:7月10日

大問2

問1 「舌を巻く」は今の中学生の理解語彙の中には無さそう……


問3(2)さっきの理科の話と同じです。資料、そして何よりも問題文から、

「今自分が何を答えるべきなのか」

を強く意識できるようにしないと。


条件1「資料Ⅰから」「現状における問題点」を答える、という条件にちゃんとラインなり引けていますか?

いや、別にライン引いたりマルで囲むことが大事じゃないんですけど、要するにそこが「答えなくてはならないもの」なんですから、強く強く着目しないとダメなんですね。


そして、条件2「資料Ⅱから読み取った内容」をもとに「解決策」を答えるという内容にラインを引けていますか?

そして、あなたの答えは本当に「解決策」になっていますか?


以上のチェックポイントを、誰にもアドバイスされずに、試験会場で自分の目でチェックできるようになれば、そしてそのチェックポイントに沿った内容を書けるようになれば、その時点で大幅に減点される答案になどなりようがないと分かるはずです。


去年の道コンだと、正直「本文ほぼコピペ」で点数取れてしまう問題も多かったですが、この問題はちゃんとそのへんのチェックポイントを整理できる生徒じゃないとまず満点は取れないでしょう。なかなかの良問だとわたしは思っております。

これで5点以下の点数の人は、間違いなくさっき言った「チェックポイント」をチェックする目を十分に持てていないです。

次回の改善に活かしてくれれば、と思います。


大問3

問4 「仏との約束を破る」という意味がわからずに✕だと判断してしまった生徒は多そう。最後の最後にちゃんと書いてあるんですよね……。


問5 記述問題はまず問題文を読み取って、事前に「答えの文の型」を頭にイメージすることが重要です。

「松浦のどのような考えと、潔のどのような思いが合わなかったからですか」

という質問文なのですから

「松浦の~~~という考えと、潔の---という思いが合わなかったから」

という「型」の文になるはずですよね。

そして~~~という部分と、---の部分が矛盾・相反する内容にならないとおかしい。


本文の内容解説まではブログではしませんが、少なくともこのような「型」が頭にある生徒なら、日本語的に意味不明な回答を書くことはなくなるでしょうし、全く方向性のズレた回答を書くこともまずなくなる。

「問題文をどう読むか」で本当に大幅に点数が変わるのが国語です。

そして、さっき言ったとおり理科などの他教科もそうなりつつある。


大問4

問3 小説の記述問題と同様、問題文をどのように読解するかをやってみましょう。

「縄文も同じだ」という傍線部から、まず「主語」がないことに気づかないとダメです。

「何が」縄文と同じなのか?

→(答)ケルト人(を含む古代人)


そして「どのような点が同じなのか」「それはどのようなことを示しているか」の2点が要求されている回答内容ですから、

「縄文人とケルト人の共通性」

「縄文人、ケルト人を含む古代人の共通性」

に該当する箇所を答えれば点数がもらえる、ということがわかります。

問題が変わっても、やらなければならないこと、考えるべきこと、頭の使い方は共通しているんです。その頭の使い方がわかれば一気に点が伸びるのが国語の面白いところですからね。


問4 この問題は正直どうかと思っています。

何を答えさせようとしているのかがあまりにも曖昧に過ぎるし、問題文、設問の設定が本文に対して適切とは思えない。


傍線部「私の立場も、あなたの立場も一人の人間に含む」というのは、本文中では「古代人」の考え方として提示されています。

ということは、本来この問題も「古代人の思考法」に沿って回答しないとダメだと思うんですよ。

つまり、和泉式部日記のように「一人の人間の立場が安定せずに移り変わってしまう」という例をもって説明しないと、本来この設問の要求を満たさないと思うんですね。

たとえば、三浦雅士『考える身体』にあるような、憑依現象や舞踊、宗教儀式の例などが本来であれば適切な例に思えます。


しかし、さすがに中学生にそのレベルの回答を期待するのは無理がありますし、実際の模範解答も

「Aさんの視点では『私』であるAさんが、Bさんの視点では『あなた』に変わる。」

となっている。


ただ、この回答だと、ぜんぜん「古代人の思考法」になっていないんですよね。

単に「英語でDo you~?で質問したら、答えの文の主語はyouじゃなくてIにしましょう」という皮相なレベルの話になってしまっていて、ごくごく表面的に文意をなぞるだけの答案でしかない。

この傍線部を説明させるなら、あくまで

「同じAさんの目から見ているはずなのに、Aさんの立場が固定されずに変化する」

というケースを出すべきだと思うのです。

和泉式部日記の例が例として適切なのは、日記を書いているのは和泉式部ただ一人なのに、文中で和泉式部の人称が変化しているからでしょう。

これが「和泉式部と別の誰かの交換日記」だったら、人称が変化するのは「古代人の特徴」でもなんでもなく、現代人の目から見てもごく当たり前のことでしかないですよね。


出題者がやりたいことは何となくわかるんですけど、あれこれとこねくり回しすぎて結局誰にも意図が伝わらない問題になってしまった印象を受けます。


問5 本文全体の趣旨を考えるなら、模範解答は「情景が豊饒な彩りに満ちる」よりも「物質文明の中でやせていった人間性の回復」のほうがいいんじゃないかなぁ……

なんか問4、問5ともに「古代人と近代物質文明」の対比性に対するこだわりが薄い回答に見えてしまいます。


大問5

ちょっと話が有名すぎませんか、これ。

古文の読解力を問うというより、単に「昔話を知ってるかどうか」みたいな勝負になってしまうので、もうちょっと出典をどうにかしたほうが……

問2で「主語を含めて」という条件を見逃さないように

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