top of page
  • 執筆者の写真FiveSchools

授業のつくりかた(小学国語1)

秋も深まり、冬の声がすこしずつ聞こえてきそうな今日この頃、だんだんブログに書きたいと思うネタがなくなりつつあります。

みなさまはいかがお過ごしでしょうか。


いや、ネタがないわけではないんです。

ただ時期的に「まだ書けない」「もうちょっと寝かせたい」みたいなものもあってですね。

とはいえ「さいきん食べたおいしいごはん」でお茶を濁して許されるのは講習会時期ぐらいかな、という気持ちもあるので、むしろこの際、具体的にどんな指導を当塾が行っているのかを詳細に書いてみようかな、と。


えっ、今さら?


みたいな企画ですが、特に今年はじめた新規講座についてはこっちもさぐりさぐりやってたところもあり、当塾の指導はこうだ!みたいにバーンとした形では出していなかったもので。


ということで、今日は「小学国語」の授業内容を詳しめに語ってみようかと思います。

まず、Fiveschools小学国語は、今のところ「3本の柱」を持っていて、その「3本の柱」を交互に順番順番に進めていっています。


その「3本の柱」とは。


1.漢字。


そして


2.作文。


さらに


3.文章読解。


以上です。


普通か! というツッコミが聞こえてきそうですが、いやそんなに奇抜なことやってもしょうがないじゃないですか。

基本的には

「教科書にとらわれない、将来を見すえた本当の国語力を」

みたいなコンセプトで運営している講座です。

だから、将来につながる土台となる力が養えない、ただ学校のワークを解くだけ、あるいはただ面白おかしく80分を過ごすだけの講座ならわざわざやる必要はない。

となると、必然的に授業で扱う勉強内容それ自体はオーソドックスなものにならざるをえないのです。将来につながる本質的な内容だからこそオーソドックス、スタンダードとして残るわけですから。


では、そのオーソドックスな内容をどのように扱っているのか。

まず漢字からいきましょう。


経験上、漢字が弱い人で、大学受験(国語は当然ですが、正直他教科も)で期待以上のいい結果を出した人ってあまり過去に記憶にありません。


というのも、日本語は表音文字である仮名と、表意文字である漢字を使い分けている言語ですよね。

漢字オンリーの中国人の思考と比較して考察したことはありませんが、少なくとも日本語で何らかの意味のある思考をするときに、漢字が持つ意味合いを避けて通ることってかなり難しいと思うんですよね。

少なくとも日本語ネイティブにとっては、日本語での意味世界が最初から漢字と分けがたく結びついているように実感として思っていて。

だから、漢字の能力が実は思考力そのものにかなり深く関わっているようにわたしは思っているんです。


だから、漢字の勉強って、漢字が書けることそれ自体が目的じゃないと思って講座を運営しています。

漢字が持つ「意味世界」を身体の中に取り込んでいくプロセスでありたい、そういう漢字の授業をやりたいと思って講座の内容を作ってきました。


まず、教材を見てみましょう。

こんな感じです。


すごくあっさりしてます。

ただ、その週で勉強する漢字が等間隔に配置されているだけ。

漢字は、だいたい漢検5級~4級の漢字です。

本来であれば小5で6級、小6で5級ですから、ちょうど1~2学年分ぐらい先に進んでいるイメージ。

このへんの漢字のチョイスはまだ悩んでいるんですけどね。

とりあえず今のところは「学年+1」ぐらいのレベルを扱うようにしています。


で、これをどのように使うか。


まずは、いったん何も調べさせず

「音読み、訓読み、画数(わかれば部首も)」

を書いてもらう。

いくら学年より上のレベルの漢字を扱っているとは言っても、日本で生活している以上案外「どこかで見たことある」「熟語ひとつぐらいは知ってる」漢字だったりするものです。

いきなり知識を上から与えるのではなく、まず「現時点で生徒が持ってる引き出し」を探っていくのがFiveschools Styleです。これは小学国語に限ったことではない。


そして、ひととおり知ってる「漢字の読み」を聞き出したところで、一旦答え合わせ。

うちは「常用漢字」にも囚われないので、普通に生活していて使う可能性がある読み方なら常用外でも平気で教えます。「紅」を教えるときには「紅蓮の炎」の「グ」という読み方も扱いました。普通に生活していて使う可能性はあるのでしょうか。


で、答え合わせが終わると、ここからがいよいよ本題です。


「その漢字を使って、知ってる言葉を可能な限り言ってみよう・書いてみよう」


というコーナーが始まります。

時間的にはそうですね、1つの漢字で10分~15分ぐらいでしょうか。

1回80分の授業でさっきのプリントの漢字全部終わらせるのはちょっときつい、漢字2つ分ぐらいは次回の授業に残るぐらいな感じですね。


そうですね、さっきのプリントにあった漢字だったら……


「骨」

骨格、反骨(心)、気骨、遺骨、骸骨、筋骨(隆々)、人骨、白骨(化・死体)、接骨(院)、骨髄(移植)、骨盤、露骨、骨董品、骨肉の争い、骨身に染みる、骨が折れる、骨を折る、骨抜きになる、骨折り損のくたびれ儲け、鉄骨、軟骨(の唐揚げ)


ぐらいは紹介して、意味も全部確認してます。

うん、これは絶対15分にはおさまってないわ。


ということで、まずは生徒自身が思いつく限りの言葉を書いて、ヒントを出しても生徒からまったく言葉が出てこなくなった段階で、私のほうから

「こんな言葉聞いたことない?」

みたいにいろいろ提示していきます。


どうでしょう、「漢字を書くことが目的じゃない」と言った意味が分かっていただけたでしょうか。

要するに「ボキャブラリー・ビルディング」なんです。

漢字はあくまでもその叩き台に過ぎないというか、語彙として理解した結果、漢字も副次的に書けるようになる、ぐらいのイメージ。


ちなみに、わたしの予習ノートはこんな感じです。字はどうでもいいんですよわたしが読めれば。


「いや、それ小学生には無理だろ!」みたいな言葉も入っていますが、まぁここに書いてある言葉を全部詰め込むわけではありません。そこは様子を見ながら

「このぐらいなら通じるかな」

というラインを探りつつやっていきます。


生徒も同様にこの教材に書きこみまくりますから、最終的には似たようなものが手元に残ることになります。

(見てのとおり、どう考えてもスペース的におさまりきらないことがわかってきたので、最近プリントをB5版からB4版へとサイズアップしました)

そして、手元に残った教材をもとに次週まで復習して、翌週チェックテストを受ける、という流れ。

チェックテストも、当然単なる読み書きだけでなく(読み書きも出しますが)、語彙の意味の説明だとか、対義語を書けだとか、そういう語彙的な問題も出す。

そうですね、書き25問、読み10問、語彙10問ぐらいでしょうか。


話を授業内容のほうに戻しましょう。

そうして、さっきのような感じで漢字を7~8字分、ひたすら語彙を確認しまくっていって、みごと全部終了したとしましょう。

すると、授業は次の柱である「作文」へと移行していくのですが……

「作文」編はまた次回ということにしましょう。


どうでしょうか、結構面白い授業内容だと思ってますし、わりとご好評いただいている気はします。

小学英語はもう春まで募集停止としておりますが、小学国語ならいつでも入れますので、よろしければご検討を……

bottom of page