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  • 執筆者の写真FiveSchools

2019年8月道コン国語レビュー

更新日:2021年1月13日

いよいよ夏も終わりに近づいておりますが、暑いのを極端に忌避するわたしとしてはまだまだ暑いです。

夜は寒いぐらいじゃないと寝れないので、もう少し冷えてほしいところではあります。


さて、Twitterで最近匂わせてますが、場合によっては来年度new teacherを当塾に迎え入れる可能性が出てきました。

あくまでも可能性でしかないですし、全然確定している話ではないのですが、もしかしたらもしかします。

今その可能性が出ている先生は数学講師としてずっとやってきた方ですので、もしこの話が実現すると来年開塾3年目に突入する当塾、何らかの新しい展開が待っているかもしれません。

どうなることでしょうか。


まったく今年と変わらずわたしがほぼワンオペ状態でやっている可能性ももちろんありますが。


また、道コンの個人データも出ました。

当塾、全体的にかなり健闘したと自負しています。

くわしいデータは

https://www.fiveschools.com/result

に掲載していますので、隅々まで見ていただければと思います。


もう「どのデータを見せれば広告的にオイシイかな?」みたいなことを考えるのも面倒になってきたので、何も考えず機械的にデータを出すことにしました。

ただ、あまり細かく成績状況を書くと個人が特定される可能性が出てきますので、そのあたりはボヤッとするように書いてはいますが、データそれ自体は切り取りも何もせずに出しています。


いずれにせよ「預かった全員をキッチリ伸ばす塾」を目指して、それを堂々と公言できるよう、これからも日々研鑽と実績を積み重ねていくつもりでいます。


で、今回の道コンですが。


ついに中3生ではわたしがひそかに目標としていた「全員偏差値60以上」を達成しましたし、というかもうちょっと頑張れば「全員偏差値65以上」もイケそうな状況になりつつあります。

そしてなんと中1生では「全道ベスト10入り」を果たした猛者まで登場しました。


そういうと「デキる生徒しか入れない敷居の高い塾」感が出てしまうのも困るのですが……


ちなみに、今回中3生で最も伸びた生徒さんは、入塾当初「偏差値52」「英語10点台」からのスタートでした。

それが、今や偏差値65オーバー、あれだけ苦手だった英語もまぁ40点は切らなくなり(50点オーバーと行きたいところでしたが)、ちゃんと1年間取り組むとちゃんと伸びるんだな、と再確認できて大変よかったです。


この春・夏から通いはじめた中2生も現段階では似たような成績の人もいますが、そこは先輩を見習って同様の、あるいはそれ以上の成績急上昇を見せてほしいところです。


さて、それでは道コンレビューです。


中3国語

大問1

問3(2)こういう問題はどんどん問題文それ自体が複雑化していく傾向にあります。

今回も「直接廃棄の主原因」に関して、「購入時」と「保管時」の対策を考える、という3つの条件をすばやく的確にとらえられたかどうか。

また、今回は本文から抜き出すのではなく「自分の頭で考える」ことが要求される問題になっています。


……というか、この種の問題って、以上のように問題文を複雑化して、自分の言葉で書かせる出題にしないと単なる「視力検査」と化すんですよね。

ですので、今後も同様の出題が道コン、入試ともに登場する可能性は大です。

ただ本文を適当にコピペするだけでいい国語の時代はもう終わっているのです。本来は……。


大問2

問2 これ、答えに納得してない人も多いんじゃないでしょうか。

答えに納得できていない人は、この問題が「傍線部それ自体」をちゃんと読めたかどうかを問う問題であることを認識できていない気がします。

傍線部「一面焼け野原」「浮浪者の群れ」「民主主義」「軍国主義」はどれも具体例なので、具体例は自分で一般化せねばならない。

一般化して本文と照合すると、どれも「現実の、目の前にある風景や言葉」であると導くことができます。

そして、傍線部でそれを「大したちがいはない=全部興味を感じない、つまらないもの」という心情で総括している。


以上のポイントを把握したうえで答えを探せば、そこしかないことが納得できるかと。


問4 前回のブログで「道コンの採点基準に文句を言う」と言いましたが、この問題です。

「いや、ちょっと、あまりにも雑すぎるでしょう採点基準」という話を今からします。

道コンじたいには大変に敬意を払っているつもりなので、愛ある苦言と受け止めて参考にしていただければ幸いです。見ているかどうか知りませんが。


問題文の要求を確認します。


「①共同生活を送っていた筆者にとっての」

「②読書が持つ意味と」

「③それによって生まれる心情」


この3点を満たすように解答を作る必要があります。


「②読書が持つ意味」は傍線直後に書いてあるので、わりと書きやすいですね。

「自分だけの自由な想像の場を確保できる」

という内容があればOKです。

「誰にも侵害されないプライバシー」という内容でも意味は同じなのでOKだと思いますが、やはり「想像の世界」という内容は書かないとマズイでしょう。


それが「①共同生活」とどう関係するか。

「現実の共同生活(=他人と生活すること)が気にならなくなった」

これも内容的に違和感はないでしょう。


そのときの「③筆者の心情」は何か。問題はここです。該当する箇所を本文からまんま引用するとこうです。


「人はかってに目の前を通りすぎ、話し、ああしろこうしろというがよい、あなたはどっちみちわたしの個室に入ってくるわけにはいかない、という自信」


この内容をそのまんま書いても意味不明ですし、さらに「個室」というのは比喩ですので、比喩表現をそのまま書いても「説明」にはなりません。

国語の答案で、特別な指示がないときは比喩を用いて説明しないのが原則中の原則。

国語指導者なら誰でも知っていることです。


ここでいう「個室」とは、あくまで「脳内の個室」であって、本当に個室があるわけではない。

つまり、前述の「頭の中に確保された自分だけの自由な想像の場」を言い換えているにすぎません。

ということは、それが比喩表現であることに目をつぶっても「②読書が持つ意味」と内容が丸かぶりでしかないので、本来加点対象にはならないはずなんです。


ということは「③筆者の心情」で絶対に書かなければならないポイントは何か。そう、

「人に何を言われてもかまわない、自分は自分、という自信」

という内容こそがポイント③の内容となるはずです。

ただし、この内容は前述のポイント①と重複しているので、そこはまとめて1つポイントとして書いてしまってOKだろうと思います。


まとめると


「自分だけの自由な場の確保」

「その場とは『想像』の場のことである」

「それによって自分に自信が持てた」

「だから、他人の存在や言葉や行動が気にならなくなった」


以上4点が不足なく伝わる解答になっていて、はじめて満点を与えるべき問題だとわたしは考えます。


だから、道コンが出している「模範解答」じたいに文句はないんですよ。

道コン模範解答


「自分だけの自由な場を確保する意味合いを持ち、想像力の世界は他人の行動や言葉によって邪魔されないという自信を持つに至った」


ね、ちゃんと全部ポイントが網羅されているでしょう。

わたしが文句があるのは「模範解答」ではなく「採点基準」です。

何に問題があるかというと2つ。


まず、1つ目の問題として「比喩表現」のそのまんまコピペにあまりにも寛大すぎるということ。

「部屋」「個室」という比喩表現を説明もなく、意味も分からずコピペしても、まったく減点されることなく満点がついてしまう。

今回の文章はそもそもの現実世界が「五人起居の部屋」であって、それを「脳内の個室、一人部屋」にたとえているわけです。

どちらも「部屋」なので、現実と比喩の区別がそもそも読解上非常につけにくいんですよ。

だからこそ現実世界と比喩の区別をきちんとつけた答案を評価すべきなのに、全くそこが評価されない採点基準になっています。


さらに、2つ目の問題として

「自分だけの個室を手に入れたような心境に至った」と「自分だけの自由な場を確保」という、本来重複する内容の両方に加点がされるということ。

「自分だけの自由な場を確保したことによって、自分だけの個室を手に入れたような心境に至った。」

という答案が、満点を与えるべき答案なのでしょうか。

「いや、同じこと2回言ってるだけでしょ」となりますよね。


そしてこれらの問題点によって、どういうことが起こるか。

要するに、意味もわからず適当に本文をコピペした人と、ちゃんと意味と筋が通る日本語を書いた人の間にまったく差がつかないという事態が現実に起こっています。

当然、ちゃんと意味と筋が通る日本語を書いた人はそういう日本語を書くために時間を費やしていますから、むしろ適当コピペ人間のほうが時間に余力が出て、下手したら高得点になってしまう危険性さえある。


いや、実際の入試がそういう採点がなされるならまだわかります。

良いこととは思いませんが、現実の入試に合わせるのが模試の責務でしょうから、北高とか南高の国語の先生がそういう採点しているというなら、いいですよ今のままで。

でも、本当にそうなのでしょうか。


実際の採点基準はこんな感じです。


すごくザックリとしていますよね。

「適切に」「稚拙」「不十分」「欠陥」

どうとでも解釈できる文言のオンパレード。

つまり、実質上「各高校で責任持ってうまくやってね」という採点基準なわけです。


ということは、やはり

「自分が受ける高校の国語科主任が、この答案でOKをくれるだろうか?」

という厳しい目で自分の答案を見なければならないのは明白です。

いや、わたしも別に北高南高の国語の先生に友達がいるわけじゃないですけど。


道コンも、もちろん多様な学力層の生徒が受ける模試で、その厳密な採点基準を作るのが大変なのはわかりますよ。

わかりますけど、せめて努力目標としてでも

「ちゃんと日本語として意味が伝わる文を書こうと努力して、それなりの成果を出せた答案」を評価するような採点基準を作ろうとしないとダメだと思います。

今のままの採点基準に過剰対応した生徒が出てしまうと、

「道コンではいつも50点オーバーなのに、北高南高を受けてみたら40点も取れなかった」

というケースがマジで発生し得ると思います。


大問3

問3の採点基準に若干文句がないわけではないですが、大問2よりは適切だと思います。

文句があるというのは、採点基準Bは2つに分けるべきじゃないかと思います。

「コミュニケーションをとること」「異質なものをグレーなまま認め合う」ことは明らかに異なる内容なので。


中2国語

大問1

問4(2)、前回の中3と類似した作りですね。

① 問題文の条件をもとに資料を読み取れるかどうか。

② 「変化の理由」を答えろ、という質問の意図を確認できたかどうか。

③ ①②の条件に合うものを正しく探せたかどうか。

やることはごくごくシンプルなんですが、とにかく「複雑な問題文」をきちんと解きほぐしていく訓練ができていない生徒諸氏が多いですので……


あと、「資料2」の最後にある「子ども向けの企画だと思いました」というコメントが罠ですね。

どちらというとネガティブ評価のコメントなので「満足度が上昇した理由」にそぐわないですし、あくまでも「親も子も楽しめる」ことが解答のポイントですから、「子ども向け」という言い方にしてしまうと「大人は楽しめない」という意味が含まれてしまうのもよくない。

採点基準には載っていないんですけど、ここを使って書いた答案ってどのように評価されたのでしょうか。

わたしなら×とまではいかなくても確実に減点しますが。


大問2

問1 アやエの選択肢も本文中にはちゃんと書いてある正しい内容なんですよね。

書いてあるけど、問1における質問の答えにならないから正解にならない。

こういう錯乱肢の作り方は大学受験では当たり前なんですが、内容を理解しているかどうかを試すには良いと思いますよ。


問4 これも、傍線部「しっかりしている」の答えになるように書かないとダメなんですよ。

「母親を心配して探しに行こうとした」だけだと、どうですかね。

それだと「優しい」「いいところがある」「母親思い」の根拠にはなるでしょうけど、「しっかり」さの説明にはなっていないのではないでしょうか。

あくまでも「役割分担をする」「冷静に計画を立てる」ところが「しっかりしている」根拠ですから、単に「母を探しに行こうとした」だけだと私は×にすべきだと思いますが。

これも、ちょっと採点基準がザルなんですよね。

道コン、「どんな答えが〇か」じゃなくて、「どんな答えだと×か」というのもある程度明確に採点基準として出したほうがいいような……


大問3

「知識があると思考の邪魔になる」という偏った内容の文章を、知識を幅広く問う道コンが題材として使うのは皮肉というかなんというか……ちょっと洒落がキツすぎるんじゃないですかね。

「どんなにバカげたことが本文に書いてあっても、国語はあくまで筆者が神様、神様には逆らえない」

という原則を理解させるには良いのかもしれませんが。

内容的には普通の問題ばかりで、特にコメントすることはありません。

大問4も特にありません。


中1国語

大問1

問1の漢字の読みが若干難しいでしょうか。

「きょうちゅう」「しりぞく」あたりは中1だと読めない人結構多いのかも。


問4(4)は「司書資格の取り方に2パターンある」ことをちゃんと日本語として意味が通るようにまとめられたかどうか、ですね。

ただ本文をコピペするだけでなく、ちゃんと自分で論理構造を組み立てなければならないので、中2中3の問題よりこっちのほうが難しいのでは? と感じます。

いい問題だと思いますよ。


大問2

問1~問3は特にないです。

問4の採点基準はどうなんでしょう。

道コンの模範解答は

「ヒカル先輩がどんな気持ちで作品や役に向き合っていたのかを知ることができてよかったと思った」

いつも通りの「単に本文そのままコピペして終わり」という内容なのですが、本当にこれでいいのでしょうか。この答案で東西南北を受けて、本当に満点がもらえるのか。

ヒカル先輩が「どんな気持ち」だったのかは傍線4のセリフそのもので語っているわけで、その内容が「ケンガイ」という作品に対して真剣に考えている内容だったからこそ「よかった」という僕の心情につながるわけです。

(仮にヒカル先輩が「ケンガイなんて作品には一切興味がない、どうでもいい」と思っていたとしたら「よかった」という気持ちは生まれていないですよね)


だったら、最終行に明示されている「ヒカル先輩も作品にしっかりと向き合っていたことがわかった」という内容まで含めて書くのが解答内容としてマストだと思います。

(道コンの国語採点基準に対しては中3編でさらに文句を言う予定です)


大問3

問1の文節が、文節の中では結構難易度の高い出題でしたね。

「ネ」で区切るだけの人には手も足も出ない可能性が濃厚なので、ちゃんとした文節の勉強法をしないと取れない良問です。


問3も好きな問題です。

空欄直後の「上回る」という語の意味をどれだけ意識できたかで勝負が決まります。

「上回る」ということは、「AがBよりも多い、AがBに勝つ」という内容なので、何が何に勝ったのかを本文から整理する必要があります。

その視点を持って本文を見れば簡単なんですが、その作業を怠っていると間抜けな日本語になりがちな問題です。


ちなみに、これは当塾玄関に置くようになった飴です。

ご来塾くださる際は、自由に食べていただいて結構です。

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