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道立高入試「裁量問題」22年廃止、の衝撃?

本当は

https://www.fiveschools.com/post/190613-what-is-kokugo1

この記事の続編を書こうと思っていたんですけど、 さすがにこの話題には触れざるを得ないですね。

道立高入試「裁量問題」22年廃止、の件について、今の時点での見解を述べておきたいと思います。


https://www.hokkaido-np.co.jp/article/317850


道教委は21日、道立高(全日制)の一般入試学力検査について、2022年3月実施分から、難度が高い選択制の「学校裁量問題」を廃止し、基礎的な内容と、思考力などを問う高難度の内容を組み合わせた入試問題に一本化すると発表した。21年度に中学校で全面実施される新学習指導要領が「思考力・判断力・表現力」を重視しているため。(中略)

新しい問題は、基礎的内容と、思考力・判断力・表現力などを問う高難度の内容をバランスよく組み合わせて作成する。現在は学校によって、標準問題だけの入試と、一部を裁量問題に差し替えた入試があるが、全ての受験生に同じ問題を課す。原則5教科の入試配点は、合否判定のため、現在の1教科60点満点から100点満点に変更して点数差がつきやすくする。試験時間は1教科45分間から、50分間に延ばす。


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>現在の1教科60点満点から100点満点に変更して点数差がつきやすくする。


>試験時間は1教科45分間から、50分間に延ばす。


>新学習指導要領が「思考力・判断力・表現力」を重視しているため。


「点数差がつきやすくする」というのは、東西南北はじめとする上位校からは強く要望されてきたのだろうと思います。

裁量問題が導入される前なんて、

「南北に合格したいなら300点満点で270点が当たり前」

みたいな時代もあったわけで。

しかし、試験時間がたった5分間しか伸びないということは、実質出せる問題のボリュームはさほど変わらないはずです。

問題の全体ボリュームがほぼ変わらない中で総得点だけが増えるということは、1問の配点が大きくなると考えるのが自然でしょう。


プラス、今の風潮であり新学習指導要領のメイントピックである

「思考力・判断力・表現力」

を重視することは確実ですから、となると「記述」が占める割合が増えて、複合的な出題が多くなる可能性は高い。


1問の配点が大きくなって記述の割合が増えるなら、つまりは「中間点」で差をつけられるような試験になるはずです。

高校入試であれば、今話題の「大学入試共通テスト」のような「採点問題」は発生しませんので、特に問題なく移行できるはずですし。

という前提をもとに考えると、


>難度が高い選択制の「学校裁量問題」を廃止し、基礎的な内容と、思考力などを問う高難度の内容を組み合わせた入試問題に一本化する


これを「裁量問題がなくなって、入試が簡単になる」と解釈してはいけないでしょう。

そもそも、今の裁量問題システムを誤解している人も意外と多いですし、この記事の書き方も若干ミスリーディングな感があります。


現行の裁量問題というのは、「問題すべて」が難度の高い問題に差し替えられるわけではありません。


ひとつの教科で生徒が大問を5つ受けねばならないとして、


「その5問のうち1問だけ」が難度の高い問題に差し変わるのが裁量問題のシステムです。(わかっている人には何を今さら、というレベルの話で恐縮ですが)


つまり、この記事にある

「基礎的な内容と、思考力などを問う高難度の内容を組み合わせた入試問題」

というのは、すでに今の裁量問題のことをそのまま説明しているだけの文言なのです。


ということは、新しい入試問題は「裁量問題廃止」ではなく「標準問題廃止」と捉えたほうが自然でしょう。「中下位校を含めたすべての学校が裁量問題になる」というのが実態に近いのではないか、と予測しています。

この予測が正しければ、上位層は今までどおりやるべきことをちゃんとやっていればOK。

ただし「選択問題が大幅に減少する」「単元や科目を横断した問題が増える」という可能性は大いにあります。

パターン・マッチング、一問一答的な「丸暗記」勉強がますます通用しなくなる可能性を念頭に置いて、キッチリと教科書内容を「理解」する勉強にシフトすることを意識してほしいと思います。

入試なんて、どこまで行っても「教科書内容」の範囲からは逃れられないのですから、結局教科書の内容を理解してしまうのが最も確実な勉強法です。

激動・変動の時代にこそ「本質」が勝つものです。


ただ、問題は下位層じゃないでしょうか。

それこそ、一問一答で解ける基礎的な内容を得点源にして、どうにかこうにか入試を切り抜けようとする層にとっては、勉強の意味合いじたいがまるっきり変わってしまうかもしれない。

あまりにも上位層向けに振り切った入試にしてしまうと、当然下位層は「置いてけぼり」状態になります。

理科とか、今も若干それに近い状態だと思いますし。


この記事にある「基礎的な内容」がどの程度の「基礎」なのかはわかりませんが、仮に

「記述だらけ、資料の読み取りだらけ、複合問題だらけ」

の入試になってしまったとしたら、下位層はもう

「どうせやってもムダだし」

と受験勉強そのものへのモチベーションを失って、早々に勉強からリタイアしてしまいかねないかな、と。


ただでさえ、中下位層が受けるような高校は、もう多くが定員割れ、あるいは定員スレスレのような状況です。

すでに「近所の高校に行くだけなら、まったく勉強しなくても受かる」という状況の地域はかなり増えています。

そうして中下位層はますます勉強しなくなり、上位層だけが熾烈な競争に挑み続けるとなると……


もう、高校に入った段階で、絶対に取り返せない学力差がついてしまうわけですね。

入試というのはもちろん「選別」のためのものですが、それと同時に「学習目標」としての意味も非常に大きいです。

入試が機能しなくなるというのは、そっくりそのまま学力の低下につながりかねない。 あくまでも「中学生ほぼ全員が受ける入試」であることも念頭に置いて、バランスのよい問題を作ってほしいな、と思います。


東京、中央で行われている今の「入試改革」も、とにかく一部のエリート層のことしか考えていない、ごく一握りグローバル・エリートが良ければそれでOKという思想が透けて見えるものばかりじゃないですか。

(あの改革で本当にグローバル・エリートが増えるのか?と言われると大いに疑問がありますが)

「ごく一般の、ふつうの中高生がどのように勉強していくか、彼らをどう底上げしていくか」というイメージを失わずに制度設計をしてほしいと思っています。


北海道の今回の入試変更が、今のセンター試験、英語民間試験導入をめぐって起こっている惨状を引き起こすようなものだとは現時点では思っていません。

ただ、本当に最近の教育行政は何をやらかすかわかりませんから、注視はしていかないといけないですね。


しかし、あくまで生徒のみなさまにおかれましては、もう一度言いますが「本質」に立ち返った勉強をしてほしいです。「出題傾向」を押さえてヤマを張って暗記ればOK、みたいな前時代的な受験勉強からは抜け出す必要があります。受験生も、われわれ指導者も。



それと、もう1つ重要な話。



これは多くの先生がすでに指摘していますが、内申点の扱いがどうなるのか? ですよね。


当日点が500点満点になるとして、内申点は今のまま315点満点でキープされるのか、それとも内申点も同じく500点満点に引き上げられるのか。もしくは全然違う仕組みが導入されるのか。

「差をつけやすい試験にする」というコンセプトが重要であるなら、315点満点キープのような気はしますが……


そうすると、かなり入試における内申点の位置づけが変わってしまいますからね。

そこまで大胆な変更をやれるのかどうか。

個人的には、入試制度のバランスとして「内申:当日点=3:5」になれば良い感じになるな、と期待してしまうのですが。


さて、どうなることでしょうか。

蓋を開けてみたら内申のほうが高くなってたらどうしよう。


>また21年3月入試から、インフルエンザなどの体調不良で当日欠席した受験生に、追試験の機会を設けることを明らかにした。


これは手放しで評価してよいと思います。


自分で体調を管理することは当然重要なことですが、寒いシーズンに入試が行われる以上インフルエンザのリスクは避けようとしても避けられませんし、それ以外にだって不可抗力の欠席はあり得るわけですから。

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