
FiveSchools
書棚紹介②→「日本語」に関する本を紹介してみる
前回に続き、当塾に導入された「生徒貸し出し用書棚」の中からご紹介を。
前回は「学習に役立つ漫画」シリーズでしたが、今回のテーマは
「日本語」
基本的に国語講師として知られているわたしですし、以前は外国人留学生を相手にした日本語教師もやっていましたから、そういう方面の本は多少多めにそろえられています。
その中で、ちょっと読んでみてほしいものをいくつかピックアップしましょう。
みんなの日本語
日本語教師にとってはド定番教材で、もう見飽きたという先生がほとんどでしょう。
正直、わたしもこの教科書で授業するだけなら今でもすぐできます。
とはいえ、一般ピープルの方々で「外国人がどんな教科書を使って勉強しているか」なんて普通は知らないじゃないですか。
そういう意味で、一度パラパラとでも見てみると面白いのではないでしょうか。

メイン登場人物、ミラーさんです。
両親はニューヨークに住んでいるんです。
これを見ただけで第何課かわかったひとはベテラン日本語教師でしょう。
(15課です)

こちらは、サントスさんです。
この電車は甲子園へ行きます。
(5課)

日本語教育能力検定試験に合格するための基礎知識50
写真を見てのとおり結構年季が入っていますが、要するにわたしがガチで検定取ったときに勉強した本をそのまま教室に持ってきたからです。

だいたい、こういうことを勉強するわけです。
正直、もともと国語講師であるわたしにとっては、このへんは簡単なんですよ。
ただ……

「日本語教育の歴史」「日本語教育に関する公的機関の名前」とか言われても、さすがにそんなものは知らないと得点しようがないですからね。

もう一冊、もっと分厚いテキスト使って勉強したはずなんですけど、そっちは見当たらないんですよね。どこ行ってしまったのか。
あ、人にあげたような気もするな……
あの人は検定取ったのだろうか。
日本語を教えよう!2014

毎年出ている雑誌というかムックというか。
日本語教師になりたい人向けのガイドブック的な本です。
ただ、この本はわたしが自分で買ったわけではなく、出版社から直接もらったんですよね。
それはなぜかというと、このようにわたしが出ているからです。


前回、ジュクサガスさんにインタビューされて、
「人生でインタビューされるのなんて初だなぁ」
と思っていたんですが、よく考えてみると初じゃなかったんですね。
しかし、この当時は若干顔が怖いですね。
いまはすっかりマイルドな風貌になりました。
ヴァーチャル日本語 役割後の謎(金水敏)
これは日本語学校のときの先生に教えてもらって買って読んだ本です。
相当おもしろいんで、言葉に興味ある中高生は一回読むといいと思いますよ。

「役割語」というのはアレです。
その言葉を使うことで、人物のキャラクターが明確になる言葉ってあるじゃないですか。
この本の中に出ている例そのままですけど、
「わしは~じゃ」と付けると「おじいさん」であることが分かりますよね。
つまり、この「わしは~じゃ」という言い方は「おじいさん」という役割を表す「役割語」だというわけです。
「~ザマス」は金持ちの奥さんを表す役割語。
「~アルヨ」は中国人であることを表す役割語。
「~ナリ」はコロ助であることを表す役割語なのです。
あなたのおじいさんは「わしはおじいさんなのじゃ」って実際に言います?
実際のおじいさんがまず言わない「わしは~じゃ」という言い方が、なぜ「おじいさん」を表す記号として通用するようになったか、そんな理由と経緯が書かれているわけです。
おもしろそうでしょう。
おもしろいんですよ。
ちなみに、古文の先生がよく助動詞「ナリ」の例でコロ助を挙げて、
「吾輩はコロ助ナリよ」の「ナリ」を助動詞の「なり」として説明すると思うんですけど。
(今はコロ助が生徒に通じにくくなったのでアレですが)
でも、わたしはこの説明間違っていると思うんですね。
助動詞「なり」は
「ならず/なりけり/なる時/なれば」
のように活用するじゃないですか。
「じ」のような例外はあれど、基本的には活用があることが助動詞の基本条件なわけです。
でも、コロ助が「吾輩はコロ助ナレども~」のように「ナリ」を活用させるかというと、絶対ないわけですよ。
ということは、あのコロ助の「ナリ」は、もう助動詞「なり」として捉えるべきものではなく、完全に「コロ助のキャラクターと、断定の意味」を同時に表す「終助詞」である、と分類したほうが理屈に合うのではないでしょうか。
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